【書き下ろし】🍋未編集、一度校正したのみ
2025年6月24日(火曜日)午前10時、千代田区紀尾井町、ホテルニューオータニ "鶴の間" にて日本製鉄の第101回定時株主総会に参加してきました。
株主総会の第1号から第3号までの議案及び、持ち株率にして0.01%の株主提案の第4号から6号までの議案決議結果はともかく
USスチール買収について、株主総会議長を務めた橋本英二氏・代表取締役会長兼CEO、並びに今井正代表取締役社長兼COOの説明内容要点をここで簡単にまとめます。
- "実力利益" として7000億円が6000億円に減るが、これに加えUSスチールを今期2Q決算から連結を開始する(買収契約自体は2023年度。その後、例のアメリカ政府のバイデン大統領命令による買収中止や承認の問題でここまでの1年半かかった。
結果的には、既に詳しく報道されている通り、国家安全保障協定(NSA)を結ぶことにより、株式100%取得の完全子会社化が成立した。
- 黄金株の中身は、2枚のスライドで説明があった。そこは、橋本さんは口頭の説明を行わず株主が字面を追う時間を与えて沈黙。
- (新聞報道を除いて) ここで特筆すべきポイントは、米国は独立取締役1名を持てるということ。その他、拒否権があること。例として、本社移転できない、2028年度までに110億ドル (約1兆6千億円) の投資をすることの変更・延期や減額に対する拒否権をアメリカ政府側が持つ、など
✴️ USスチール社買収金額の合理性(2兆円)についてより詳しい説明が橋本氏CEOからあった。
◎その判断の参考値として : インドでは、1トン当たりの鉄鋼製造に20万円かかること+その生産が軌道に乗る迄には10年かかるということでその間のキャッシュアウトがあることが挙げられた。それに比べ、アメリカでは1トン当たりの生産に40万円がかかる、とする。
- 👉 これに対してUSスチールは2千3百万トンの生産能力がある。買収額の2兆円は1トン当たり10万円以下になる。加えて、
- 👉 USスチールは、ヨーロッパ・スロバキアに子会社の製鉄所を保有している。これは日本製鐵君津製作所と同規模の一環生産の製鉄高炉。USスチール買収は、同時にヨーロッパの製鉄所を含む買収であること
以上から、アメリカばかりがヨーロッパにも生産拠点を持つことになり、この買収額2兆円は割安と考えている旨の説明があった。この分析には得心した。
◉ 負債について)D/Eレシオが、 0.9から0.7に悪化する。USスチール買収とその後の連結業績の向上を見込むことにより負債圧縮を図る、
◉ 原料の調達、それ自体を "原料事業" として事業運営していく、などが報告された。
◉(質疑応答のごく一部)2025年のトランプ関西による高関税政策について▶︎橋本CEOの認識は、トランプ高関税政策の是非をいうことはしないが、しかしながらアメリカの通商政策はいま大転換をしている。日本製鐵としては高関税の対応に、米国現地生産をするという意味において、今後の対応については前向きに捉えているという感じのコメントがあった。