12/15 Twitter発信+西村あさひのウェブサイトもどうぞご参考下さい。日英EPAとRCEP▼
日英EPAの発効と今後の課題(2020年12月15日号) | 西村あさひ法律事務所https://t.co/GUAQMXxlvb
— Andy S. の雑記帳 (Andy-e49er) (@Accurasal) 2020年12月15日
N&Aでも出してるな。12/15日本関税協会で財務省関税局の経済連携室長による講演を拝聴。時節柄RCEPの話と企業のEPA利用促進施策の話もあり。講演後名刺交換し相談対応での会話も。やはりF2Fだと実り多し
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日英EPAの発効と今後の課題(2020年12月15日号) | 西村あさひ法律事務所
https://www.jurists.co.jp/ja/newsletters/europe_201215.html
▼元のblog本文は以下 :
地域的な包括的経済連携(RCEP)協定は15か国で締結された。加盟は15ヶ国だが、特徴的なのは、中国と韓国が入っていることだ。
中・韓と日本との間には、経済連携協定(”EPA” イーピーエー)あるいは(ほとんど同意語だが)自由貿易協定(”FTA” エフテイーエー)は存在しなかった。
2021年にRCEP協定が発効する。加盟15ヶ国のうち、ASEAN10ヶ国、豪州、NZと日本との間には、既に2ヶ国協定などがある。だから日本がRCEPを新たに使う必要、必然性は薄いと言える。しかし、
日本と中国間の貿易取引、日本と韓国の間では、RCEPの存在はいかにも「大きい」、ここがポイント。
2021年以降は、日本の輸出者は中国や韓国の輸入者との間で関税の譲許を得られる。
日本が輸入調達する側なら、日本企業や個人は関税が安くなるメリットがまさに得られるのだ。
RCEP協定
世界のGDP、貿易総額及び人口の約3割、我が国の貿易総額の約5割を占める地域の経済連携協定である。
(資料リンク下記)
(経済産業省ウェブサイト) https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000231134.pdf
(外務省ウェブサイト) https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100115475.pdf
協定が発効するには決まりがあり(省略)、関税譲許を得るには2021年中の協定発効を待つことになるが、ここで輸出者の活用策を少し見てみたい。
◉(前提)売手輸出者(企業や個人)が日本から海外買手に輸出をする。
- 海外買手、つまり輸入側で輸入時の関税が譲許されると
- 関税が安くなったり、ゼロになったりで買手が得する。
- 輸入関税がx%下がることは、関税下げ率と同じx%の売上高利益率を持つ企業がその利益を産む売上げを新たに増やすのと同じ! なわけだ。
だから、とても大きい効果なのだ。
- それで周り回って輸出・売手側にも得がある。
- 輸入者がコストダウンできれば市場で売価を下げる。売価が下がり売れる。
- 売れて数量が増えれば、買手から売手への注文は増える。
日本の輸出者の海外事業収益が拡大することにつながる。
使い方の違い
使い方に、2つの大きな違いがあることに、注意が必要だ。
◎例えば、近年になって(あとから)出来た協定を先にみてみよう;
日EU協定(JEEPA)、TPP11、日米貿易協定を活用するには、輸出のとき、Commercial Invoice上で(輸出者が協定ルールであるPSR ( Product Specific Rule ) - 品目別原産地規則を満たす) "現産品" であることを、しっかりと正しいやり方で確認した上で、その宣言だけをすればよい。これだけだから自己証明(方式)で容易であり、コストもかからないのだ。
◎ところが、一方でもともと早くに発効済みであった他の協定はどうだろうか
日ASEANや、ASEAN各国との2ヶ国協定(例:日本タイEPA ”JTEPA" ほか)、日本スイス協定、日本メキシコ協定などは、ある意味では、「古いスタイル」の原産地証明方式だ。具体的には、日本商工会議所(JCAA)が審査して発行する法律で定められた『第三者証明』の原産地証明書(C/O : Certificate of Origin)を、
- 証明書の発行を申請して、
- JCAAにそのために必要な関連資料などを提出、説明する。
- JCAAの審査を経て、証明書を入手する。そして実はその前に、
- JCAAに申請ができるように企業登録から始める必要がある。
申請して証明書発行するのに手数料がかかるが、何よりもその分、対応の時間を見込む必要があることに注意が必要だ。
(詳しくは下記リンク先をご覧ください)
取得までの流れはきちんと整理され、公開されている。
必要な方はこちらをご覧いただきたい。
◉これらの使い方(その差とは何か?)
初めて取引の人は、そもそもどちらなのか分からない、ということなど、混乱や周知不足がある。
ただ気を付けておきたいことは;上で述べた2つの差は、各協定の生まれた経緯と密接に関係していること。元々は後者のスタイルが必要だったわけで始まりはこちらからだったわけだ。その後、協定が進むにつれて、原産品を輸出する輸出者を信用し、あるいは輸入者がそれ(協定に合致する正規の原産品であること)を「自己宣言するだけで簡便にしよう」という趣旨で、前者の様な「自己申告制度」に後から変わってきた、ということがある。
一度理解して正しく実行してみれば、全く何のことは無いごく基本の知識なのだが、
はじめての会社や個人には結構な不安やハードルになっている。しかも、
◉原産地証明あるいはインボイスなどによる原産地宣言の手続きだけで、
輸出時の貿易実務は終わらない。
輸出時の貿易実務
- 売買契約の交渉から締結まで、 …そのために決めなければならないのが
- 通貨と決済方法(為替リスクはどうするのか)
- インコタームズ(R) 引渡し条件|FCA, CPT, CIPなど
- 輸出するための海外梱包は?
- 国際物流手配や保険はどうするか、そのときの
- B/L, SWB, AWB など輸送証券、何をどうするの?
- 輸出品の製品保証(条件の定め)や万が一不良時の対応策は?
- これら貿易実務フローと行う順序、売り先との連絡の仕方、など
さまざまな課題が待ちかまえ、やり方での疑問は渦巻く。普通の人は、初めての場合、やり方に確信がなく迷うだろう。だから、
◉初心者や初めて輸出入を行う企業には、専門サポートが必要だ。
#FTA #EPA #サプライヤー証明、#自己証明 と #第三者証明 は各協定による違いが基本だけど事業者が対応初めてだとまごつく弱点。
— Andy S. の雑記帳 (Andy-e49er) (@Accurasal) 2020年12月10日
FTAのIT製品でその機能もあるが中小企業が買えるかは疑問→大手車メーカーが取引先を包含して自動化導入が妥当。加えて公的な事業支援を大いに拡大してやるべきでしょう
初めて輸出を行うために
その対応としては、以下の対応が間違いなく必須のことだ。
- まず社内で海外事業に長けた担当者を育成すること。
- それまでは外部コンサルタントを雇うなどになる。あるいは
- 最初から外部貿易セミナーを受講し具体的なやり方を社員自ら学ぶ、
- (それらを含めた)輸出入実行のための社内「インフラ」構築・整備、
- 買手との交渉や調整時の意志決定の仕方を作ること
- そして継続的な貿易実務知識と海外事業に関係する情報の継続的アップデート
ということで、
今回はいつもと違い、Professionalとして(?)、真面目に EPA/FTAの使い方 を入門編的に・コンパクトに・書いてみましたよ。
筆者は国際調達の職務経験者で、本来は貿易実務や日本投資・日本法の対応が今は職務上の専門です。EPA/FTAも、外資系ITコンサル会社で貿易コンサルとして行っていた経緯も。
今回は分かりやすく読みやすい記事を心掛けたつもりです。
また書きますね。
【Coffee Break…】ところで、RCEPにはこんな条項もある:
§18 国際的海底ケーブルシステム
(抄訳)締約国は自国領域内通信サービス提供者に海底ケーブルシステム運用を認めている場合、他締約国の同サービス提供者に対しても同システムへのアクセスについて合理的で差別的でない待遇を与える。(貿易の関税譲許以外にも縛りがある)
RCEP発行時点のblog記事はこちら🔗
https://andy-e49er.hatenablog.com/entry/20201116/1605496778
RCEP締結の背景と過程には国際政治のパワーゲームが静かに横たわっている。中国🇨🇳の思惑に大いなる注視が必要。習近平主席が表明したTPP11(正式には、"CPTPP" )にも目配りが必要だ。
🔗https://andy-e49er.hatenablog.com/entry/20201227/1609025560