◉私の好きな英国人作家ケン・フォレット(1949年Wales生まれ 1978年『針の眼』でデビュー、エドガー賞受賞)作のWW II ノルマンディ上陸作戦、通称Dデイ侵攻の成功の陰にある実在の人物を主役にした物語。作戦の指揮者としての女性リーダー(少佐)※による独国占領下のフランスへの秘密潜入・破壊工作を描いたこの長編スパイ小説は読み応え大でした。
『鴉(カラス)よ闇へ翔べ』Jackdaws 2006年刊を完読。戸田裕之訳。戦争スパイ物💮
◉Nazisドイツの冷酷な将校による冷徹な読みの心理描写が彼の非道の限りの行動とのバランスがうまく取れている。対する英米連合の実際のチームの動き、協力者である仏レジスタンスの協同による、読みと行動の鬩ぎ合いがリアルな描写。実際の歴史書よりも、これを読めば連合軍対枢軸国の欧州戦線がよく理解できるだろう。
残念なのは、映画化に十分な緻密な構成とストーリー仕立てだが、逆にその緻密な描写を忠実に映像化されるなら、拷問シーンや民族浄化等が物議を醸し出す気もすること。その点を想像するとおそらく今後も映画化される事は無い様にも思える、そんな視点で見ても秀逸の一作。
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※ special operations executive (SOE)
秘密任務を帯びた50人の女性がSOEによってフランスへ送り込まれた。36人は戦争を生き延び、残る14人は命を落とした。
【参考文献】
M・R・D・フット「フランスにおけるSOE」(イギリス政府刊行物出版局 1966年 ロンドン)
【追記】ほぼ一年後。Netflixで。英独解散直前の時代の実話に基づく映画を見た🎞🎬🔗👇
https://andy-e49er.hatenablog.com/entry/20210201/1612171589