断捨離データ編で、Evernote アップロードしておいた備忘録から転載します。
本📖『波の塔 上・下』(松本清張)
(中央官庁の汚職事件を捜査する若き検事…悲恋を描くサスペンス)
🌟波の塔は松本清張には珍しいサスペンス仕立ての恋愛小説。当時女性自身の連載で人気を博したらしい。しかし舞台や役どころは、検察庁特捜部検事たちや官庁(頭文字の当てはまらないR省局長たちとしている)、新聞記者、政治ブローカー、料亭やバーの女たち、弁護士、高級官僚の家庭・子女とセレブのご学友など。
🌟ストーリーは推理小説の片鱗をなぞるかのような行動描写、地方の旅行、そして登場人物たちのときどきの心理描写が清張ばりで緻密。
人物描写自体も精緻であり、文章が丁寧に堆積して行く感じを味わいながら、ハラハラさせる。清張の筆の実力を相当に感じる長編もの。
🌟とても読み応えがあった。エンディングについては、社会派らしくやや暗い収束の仕方なので、クライマックスは中盤から後半の前までと心得る。この小説は映画やドラマ化の数が最も多いと言うのは、ストーリーからうなづける。
…今ではもう読んだことすら、メモを作成した記憶すら全くない。書いた文章の信憑性を信じるしかない。