(吾妻橋/台東区浅草と墨田区、2012/10/6 筆者撮影@自転車ツアーにて)秋の空は美しい
(命題)ものづくり…日本は再び勝てるか。"いや、勝つ必要があるのか?"
最新の動きや情報に触れながら考えてみよう。
今、世界を見ると、特に企業の時価総額と言う数値指標では(数値指標 "でも" と言い直すべきか…)大変残念だが、ものづくり企業においても日本は米国に負けている。そして今やGDPで追い抜かれた隣国の中国🇨🇳にも製造分野の総合力では勝てないのではなかろうか。
(引用) 「地球を守り、破滅から人類を救う」幼少時からSFの世界に妄執するマスク氏にとってテスラは地球環境を守る手段でしかない。太陽光発電や宇宙開発のスペースXも同じだ。ヒーローになる。▶︎イーロン・マスクに関する元経団連会長中西氏の見立ては外れた。それは、続く https://t.co/TSAvCwPfni
— Andy Sierra 雑記帳 (andy-e49er) (@Accurasal) 2022年9月26日
(引用) ・日本のものづくりの強みは「擦り合わせ」にあると言われてきた。取引先とともに部品や部材を細かく試し、選び、製品を作り込んでいく。三万点もの部品を使うガソリン車をはじめ、製造業の成功はそのまま日本経済の支えでもあった。
・対して米国勢が得意とする「水平分業モデル」の申し子がテスラである。電気自動車(EV)もパソコン同様、単純に部品を組み合わせればいい。従来の慣行や調整はむしろ邪魔だ。
(出所 : 日本経済新聞 9/26(月) 7面ビジネス「経営の視点」非常識にこそ革新の芽、土俵違いのテスラ躍進、から。編集員 阿部哲也)太字は筆者による
✳️ 『水平分業』と言えば、アップルのiPhoneが有名だが、そこに使われる基幹チップを含めアメリカの半導体企業はマーケティングと商品設計及び技術開発にリソース集中し、製造は外部の電子製造委託先、それもオフショア工場に任せているケースが多い。そのことはよく知られていると思う。以下の話も抑えておきたい。(中国リスクからの脱却)
フォックスコンがチェンナイ近郊でiPhone14の生産を開始(インド、台湾)
https://www.jetro.go.jp/ biznews/55095b796ca3188f
出所 : JETROチェンナイ発
フォックスコン(Foxconn 社) は台湾企業。もともとiPhone製造を受託している。生産担当ラインを中国本土工場からインドの別工場へ変えるわけだが、チャイナリスクに対応しつつ、製造ノウハウはそのまま同一企業内でトランスファーできる利点がある。
(続き) それが映画「アイアンマン」のモデルにもなった彼の本気のパーパスなのだ。結局、テスラは最初から違う土俵で戦っていた。
— Andy Sierra 雑記帳 (andy-e49er) (@Accurasal) 2022年9月26日
・テスラの生産能力は今や年2百万台規模と独メルセデスベンツGやBMWに並ぶ。時価総額は当時の16倍の120兆円強に達しトヨタから第一三共まで日本上位10社合計に及ぶ規模。 https://t.co/PSqFGi6B6F
✴️ ものづくりの現場にいた身として、言わせてもらえば、
『電気自動車(EV)もパソコン同様、単純に部品を組み合わせればいい。従来の慣行や調整はむしろ邪魔だ。』↓↓
これは少し違うと思う。
アナログ的な部品や材料を組み付けした後のパフォーマンス面の"相互調整" →つまり性能のチューンナップなどがデジタル製品系では激減したか、不要なことは確かだ。だがそれでもある程度の総合調整や検査は必ずあるのだから。
➡️ 問題は、それらは今や生産設備や検査設備の自動化でほぼ100%済ませられるのだろう、ということにある。✴️ つまり熟練工やベテランの "神業はいらないものづくり" へと世の中が変わったのだ。
もともと日本製品は場合によっては事実「過剰品質」の面があったことは否めない。性能だけでなくモノとしての強度もズバ抜けており、全く壊れないのだ。
例えば私のSONY RADIO。アナログの海外バンドも聴ける3バンドの国際ラジオは、なんと1回目北米勤務した1987年に国内で買ってアメリカに持って行き・持ち帰り、また97年からも持参して向こうで使って持ち帰り、今2022年も使える‼️
全く驚異的な品質だ。
しかし、今世に出ている「もの」は、digital機器の比率がどんどん増えた結果、プラモデル的な作り方でこと足りるようになった。WALKMANがその典型とも言える。そのため簡単な部品組合せ、組み立てするだけで完成する製品が増えた、ということがある。
▶︎日本が誇ってきた精緻で長持ち、なかなか壊れない頑丈なものづくりから、今や壊れたら取り替えるしかない体の "普通品質" や中等品質、平均的なものへ大勢がシフトしたということだ。
日本経済はこれまで製造業、特に自動車産業が輸出で牽引してきた。自動車産業は1台の車に2万から3万点と言う膨大な大小部品を組み合わせ、まさにすり合わせて作る、いわば「ものづくりの極致」である。
例えばトヨタ自動車。
設計、購買、製造の3機能組織に、部品取引先を加えた「4身一体」を大きく掲げ、中堅・中小・零細な規模の取引先を丁寧に育てる。彼らの部品製造工程にまで踏み込む。取引先を全面的に購買と生産技術がサポートする。調達行動では発注者として単にコストダウンを一方的に要請するにとどまらず、下請け取引先の内部生産、文字通り現場に立ち入って指導し助ける。
そんな風にともに共存共栄を目指す。堅牢で強固な垂直構造のものづくりピラミッドを完成させたのだ。
しかし今や米国テスラに代表されるプラモデル的な生産で足りる "EV" が今後の世界の主流になる。その潮流はもはや確定し、後戻りしないと言ってよいだろう。
テスラユーザーによればその真骨頂は、車を動かし運転すると言う(ことづくり)における運転制御のソフトウェアが、逐次アップグレードされる(機能強化・更新されて差し替えが効く)ことによる便利さ、との声を多く聞く。つまり車はもはやソフトウェア産業化しているのだ。
このようにものづくりにおいてさえ、企業活動と経済がソフト化し、digitalが主流となり、サービスやソフトウェアなど、『ことづくり』が世界の主役になってきたのだ。
世界に冠たる日本のタイヤメーカー・ブリヂストンは、製品タイヤの中に半導体チップを埋め込み、そこからタイヤの運用データをとって、保守サービスする体制に乗り出す、半導体も作ると決めた。全てはサービスによる価値を作るためだ。
こうなってくると、円安で部材の海外調達コスト高に苦しめられ社内と取引でギリギリやり取りし、同じ円安では海外輸出が好利益(為替差益)を産むと喜ぶ。いったいどっちがイイのやら、ドタバタせざるを得ない製造業ひとり、ものづくり企業 (製造業・メーカー) だけが世界競争と為替で奮闘し、身を削り競争をしていく必然性などはもはやないのではないか?
よって、世界のパラダイムシフトをちゃんとみれば、日本の産業構造を大きく転換しなければ、将来は危ういことは誰でも分かる。
- 軽工業的な平均品質だが、使い方やデザインに優れ『買われる』(品質はお値段以上で) コスパ高い安めの製品をどんどん増やすことも更に大切。そして、
- サービス産業や金融、投資、不動産、商業分野の、ことづくり。ソフト産業が国内で、そして地方でも頑張る必要がある。
- 農業と林業。畜産や漁業。ローカルな中小規模の企業体が活力を持って新たなベンチャースタイルの企業活動、経済活動を頑張ること。とても望ましく良いと思う。▶︎それは自給率を高め、他国に依存しない経済安全保障にもかなう。
key wordは、『アクアポニックス』以下参照
BS171一柳氏番組『日本の未来』まさに今紹介中。地方や都心の遊休地など異業種から一次産業にいきなり参入しSDGs, 食料自給率向上, IoTテクとアプリ活用で環境管理,生産管理。農業DX化を最初からトップレベルで使いこなせる新規新奇のビジネス。有望企業。縦型野菜生産の特許など知財も確保と。面白い https://t.co/PWBU11E25X
— Andy Sierra 雑記帳 (andy-e49er) (@Accurasal) 2022年10月8日
#地産地消 #地方創生 #新規参入
ちなみに商業分野ではコンビニの、セブン&アイ・ホールディングス。この度過去最高益を出したようだ。経営をうまくやればまだまだ成長可能。
セブン&アイ・ホールディングスの2022年3~8月期の連結営業利益が前年同期比3割弱増の2,300億円強になったとみられることが分かった。従来予想(20%増の2,225億円)を上回り、同期として3年ぶりに過去最高を更新する。日米でコンビニエンスストア事業が好調だった。(日本経済新聞 10/2 )
(日本経済新聞 10/7にも記事が出た )セブン&アイ純利益28 %増、日米コンビニ好調。物価高対策が課題、割安PBなど投入。
【参考記事】「米国で復権する製造業」中堅企業に底力、非公開生かす グローバル・ビジネス・コラムニスト ラナ・フォルーハー氏 日本経済新聞10月7日(金) 7面オピニオン FINANCIAL TIMES から以下 :
(引用) 米自動車メーカーはコロナ下で136万人の労働者を解雇したが、8月の統計によるとそれ以降143万人が新たに雇用されており、雇用者数はコロナ前に比べ6万7,000人増えた。
こうした雇用増は地域や業界を問わず全米に広く見られる。
これを後押ししている1つの要因は、米国の製品を買って米国の雇用を支えるバイデン政権の「バイ・アメリカン」政策だ。サプライチェーン(供給網)の遅延を回避するため国内での生産に切り替える動きもある。
中国とのデカップリング(分断)が続いていることや現在輸送コストが高騰していることも関係している。だが、それ以外にもこれまで見過ごされ、あまり報道されてこなかった要因がある。家族経営を中心とする非公開の米中堅メーカーの秘められた底力だ。
▶︎ポイントとしては、
- 長期的な視野に基づく経営ができる
- 同業で最も優れた企業であること
" 最新の製造技術に投資し、製造工程で無駄を省く「リーン生産方式」を導入して品質と生産性を向上させ、迅速な技術革新と的確なリスク管理のため地元のサプライチェーンを活用しなければならない。"
➡️ 「リーン生産方式」とは何かといえばなんのことはない本家本元はトヨタ。そのものづくりのJUST in Timeを突き詰めたカイゼン活動のことだ。そしてこれはまさに日本の非上場の家族経営の中堅中小の町工場の話と同じではないか。日本は追いつかれマネされて抜かされた。
日本は一周回って出遅れ、強みも真似され、ノウハウや技術までとられている。二周目に相手に置いていかれ…もはや追いつけない。
むろん全てのメーカーがこんなことではないのだが。とは言え、今日こんな話を目にした。
👉インドネシアEMS(電子機器受託製造サービス)最大手のサット・ヌサプルサダ(サットヌサ)躍進の記事を見た。調達「脱・中国依存」に的、低価格と高品質で攻勢(日経記事10/7)
🖍挿入する10/7 米国政権の公式宣言🇺🇸👇
半導体産業と技術で世界トップでなければならないと米大統領が宣言している。#経済安全保障 #半導体
— Andy Sierra 雑記帳 (andy-e49er) (@Accurasal) 2022年10月7日
台湾、韓国、日本。そして中国は? https://t.co/FhKFITXlqI
✴️ #経済安全保障 イシューは、対外政策と外交面の領域でこれからさらにcriticalになっていく。米中の政治面・その情報戦は戦線拡大方向だろう。
半導体分野では先端設計技術開発と生産技術は完全に一体で両輪欠かせない。そこでは産業としてものづくり及び工場投資もワンパッケージだ。
注視すべきは。🇺🇸米Intel、Micronの動向、🇹🇼台湾TSMC、UMC, 🇰🇷韓国サムスン、🇯🇵ルネサスやソニー、キオクシア、ロームなど。政治、産業政策、補助金など、どう動くのか。
そして、経済安全保障で見逃せないのは大変驚いた10月7日日本経済新聞一面に出たこの報道記事…
660社の「社外秘」文書投稿
中国サイト、漏洩の温床に
(Cyber Chaos 経済安保の死角から)
- トヨタの「購入部品品質保証マニュアル」、日立製作所の顧客向け製品提案、アップルのパソコン部品製造プロセスとされる文書が中国の「百度文庫」のほか、2,3の中国企業が運営する"文書共有サイト"で見つかった。(同上・日経記事から)
- あろうことか!この文書共有サイトではユーザが文書ファイルを投稿し、閲覧した他のユーザから金銭やポイントを得られる仕組みだと言う。これが何を意味するか。
産業スパイ天国とは聞くけれど、スパイ防止法もまだない日本は、あまりにずさんではないか。
そんなこんなを書き連ねているうちに、書く材料は増え続けて行く。今のニッポン、あまりに懸念材料が多くて、長〜い投稿となった。ここで切っておくことにするが、悩みと心配は尽きず課題多く、改革やカイゼンに終わりなし‼️
【末尾、参考資料】
成し遂げたい「生産性革命」
出所 : 『産経新聞』2022年9月24日
https://www.sankei.com/ article/20220924- A5KDMVKXCVJTZGVP2FQ2Z4F7EU/
木々の緑、花や草、青い空と豊かな水に囲まれる。他国からのサプライに左右されない、心の豊かなニッポンを作り上げたい。