Andy.S の雑記帳 (andy-e49er)

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「調達する力」一流と対峙する

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22歳、卒業・就社以来、ずっと日本経済新聞
常に私の大切な情報源であり続ける。
感謝。

  • 大手電機・ITメーカーを退職したが、毎日 (年齢相応なんだろう「オジサン」だから)
    朝の日本経済新聞を欠かさない。
  • 忙しくて追いつかない日々があっても、数日分すべてをまとめて後で目を通す。
  • 電子版は便利な面がある反面、新聞紙面を読む便利さと効率性から紙面の必要性は全く減衰しない。紙は大切。

💮紙の大きな見開きページの利点は、

  1. 複数見出しをサッと自分の眼と脳幹でスキャン。
  2. 気になる記事を選んで読む同時感応的なところ。
  3. あっさり読みとざっくり深読みの濃淡。
  4. そこから考えたり、想像を膨らませる、
    と言う使い方に適していること。

つまり一覧性。同時平行処理。
これに勝るものはないと信じている。
Digital は IT親和性には優れるが、いかんせんデータは断片的。
だから一覧性や同時並行の処理には不向き。
メリット・デメリットが裏腹なのだ。

  • スマホの小さい画面で電車内で見たりは「ある」「する」けれど。今後、将来的にこれだけに絞るつもりは無い。

さて、今回のテーマは(日経紙にみる)グローバルコモディティ (世界商品) だ。

例えば、今朝目に止まったこの記事。
(出所 : 日本経済新聞 2022/6/4 (土) 12版 マーケット商品 17面の右上トップ記事)👇

HDD 3四半期ぶり上昇。データセンター向け好調。4-6月大口(向け価格)、部材高など転嫁。

記事で意外だったこと: 据置型サーバーに使われる3.5inchモデルが、より小型精密になり値段が高いはずの2.5inchモデルを2021年の第1四半期に逆転し、高くなっている点。私の時代の逆。記事にその説明はない、最新動向は知らない。過去は主にPC向けに内蔵された小型の方が安いのか。
(個人的分析や読みとして)想像に過ぎないけれど、一要因はPC向け需要が上回り、生産量逆転・小型製品の方の部材コストが下がり(HDDメーカーの調達が頑張って下げ)製造コスト引下げが進んだか?…おそらくは圧倒的に数を稼ぐのはDC向けなので、そこでは2.5inchが主流ということか(生産と販売の台数が多い)…。アレコレと頭の体操をすることそれ自体が楽しい。

さて、グローバル調達の中身。
グローバルコモディティ (世界商品)を「調達する力」の話 をしよう。
退職時サインしたNDAに抵触しない程度だから詳しくは書けないが、一般論として書いてみよう。

「調達する力」その概略は、こんな感じで一流と対峙し対決する。

『グローバルコモディティ』と呼ぶ半導体やハードディスクドライブ(HDD : 記録装置)の調達。

半導体 : 品種や応用分野が幅広いから、製品ラインナップは相当数多く、調達対象もサーバーやPCと、家電製品、自動車、製造装置、精密機械など。応用分野により品種はさまざま、超広い裾野。代表選手は米国Intel🇺🇸。メーカー数も多く多岐にわたる。

ハードディスクドライブ : これは全く異なる。メーカーである世界規模の売り手はもはや淘汰された結果、非常に少なく実際、極めて寡占状態にある。

◎世界レベルのHDD売手は現在3社に絞られた。以前は日本にもあった大手メーカー:日本の日立製作所富士通NECもメーカーだったが各社とも時期はバラバラだが、かなり以前に事業撤退した。
私が知る米国マクスター社はシーゲートに吸収された。数少ない寡占メーカー3社のロードマップを睨みながら、提供を受けられる複数タイプの製品を要求元は考えて選ぶ。

◎需要家(企業)では調達先(Vendor/Supplier)を事前に会社として正式に認定をしている。"AVL" approved vendors list 化している。それに沿う形で『複数購買』するのが定石。一社に頼ると供給問題を起こすリスクがあるから、常に2社以上から同一仕様品を同時に変える仕組みを保つことが多い。

◎主に四半期毎の自社所要とともに、世界の需要・供給や生産基地の問題など、世界市場を変動させるメカニズム・要素を、担当者たちは常に目を凝らし情報分析している。

 👉 営業担当と話す中から; さまざまな情報や裏に潜む感触やら、背景に潜む知られざる取引先の内部事情を把握せんとしている。その辺が調達担当の表に現れない知恵や工夫のしどころ、水面下の足掻き、汗かきである。交渉の巧拙はこのような毎日の地道で目立たないところの蓄積や個々人の才覚によると思っている。

 👉 マーケティング、と一言で経営学の大学先生が話す以上の、『実務者による攻防』は実は日々の新聞、業界情報、対話、海外との連絡など多方面で深く激しい。

✴️ 当然、需要者として国内ライバルたち(メーカー)と常に内部組織としての資材部門による調達行動の面でも目に見えず競っている。

時にライバル社の調達組織と意見交換したりもする。自社組織の比較評価やあり方を常に模索しているのだ。私も米国勤務時代にT社とH社の現地調達事務所と意見交換、比較検討を行っている。あるいは調達組織の中での独自の計画表による人事(担当職務の)ローテーションにより、職務ノウハウや調達、管理、企画、交渉などの各種行動に優れるそれぞれの担当者の長所短所を把握。常に人材マップで人を育成し、また確保する。

これらは調達部門自体における人材獲得活動であり「ヒトの調達(育成含む)」であろう。改めてこう振り返ると、私の在籍した企業はなかなかすごかったのかもしれない…(笑)。

これらのことすべてが、製造業という業態における critical path といえよう。企業は Going Concern と言われるが、脈々と組織を維持、開発・改革をし続けなければならない。部門トップを含めた組織と人材の開発と育成は究極の 企業経営を続けていくための核心だ、と言ってもよいかもしれない。

以下、4つの小見出しで更に説明をしておこう。

1.【グローバル調達人材、その育成と開発】
 自社製品の売りのマーケットシェア競争の裏に、表に出ない資材調達マン達とその組織の "影の攻防"
が激しいのだ。さらに 生産管理、在庫管理、物流など関係部門との社内連携連動も行う。当然、物流や輸出入手続きなどは外部委託もあり、そのような外のお相手との広義の調達行動では外部契約とその企画・管理もあるわけだ。だから、目配りする先は広く深い。変化や危機に即応できる危機管理能力も求められる。BCPはその最たる一面である。これらの根底には当然、渉外的コミュニケーション力が長けていなければならない。外部ステークホルダー(さまざまである人)たちと、50:50の対等、あるいは自社有利に渡り合うことが求められる。希求される資質と本人の性格や能力だけに留まらず、常に新たな技術や経済の世界情勢を学び続けることが要求されている。

2.【グローバル交渉による重要資材の獲得行動】
調達担当者は、会社を代表して世界の大手メーカーと直接調達交渉を行う。
相手は少なくとも相手企業の管理職以上だ。グローバル商品の調達担当であれば単に「下請」相手ではない、世界の大手一流企業が相手。大手メーカー対大手需要家であれば対決する相手は概ね、ワールドワイドセールスVPや、グローバルマーケティングの担当VPなどになる。時に世界製品の値付けをリードするその企業の部長級(World-wide Pricing Director)などになる。もちろん全て英語で交渉する。通訳は使わない。

当事者が身体を張って時には必死にネゴる。会社の命運がかかる場合だってある。英語はブロークンだったりして、当然ネィティブスピーカーではありえないが、ビジネスイングリッシュではなんとか一定レベルを保つ必要があるから、国際調達担当になると正直きついこともあるだろう。(私はそう感じることはなく楽しんできたことを付記する)

3.【グローバル交渉による重要資材の獲得行動 - その2】

職務の内容:簡単に言えば、四半期毎の価格 (価格の現状維持、目標による引下げ、相手の値上げを抑制など) と 供給 (希望出荷納期と調達必要数の約束)一番重要なことは、調達アイテムのあるべき品質・性能レベルやテクノロジー要求を確保すること。
それらの合わせ技:総合的で統合された調達交渉。これを毎四半期に渡米して実行する。スケジュールの企画から作戦会議、海外出張全体のロジスティクス立案とスムーズな実行などのアドミ能力も必須となる。

交渉する前には、技術者を含むチームで過去四半期の実績評価を整理しておく。それを資料にまとめて相手幹部に示し説明を行いながら、自社の現下や次の目指す課題を相手に突きつけ改善を要求することも怠らない。やること満載、である。

これらはどれも緊張する瞬間 (Moment)だ。何しろ対峙する相手は世界有力メーカーの幹部や経営陣レベルのアメリカ人だったりするのだから当然だ。準備に時間をかけ、周到にチームで分担して行う。事前にまとめ上げ、体調を整えてチームで渡米する。
その後は交渉後の整理・まとめ、上への報告、実際に日々の購買業務を行う工場サイドへの報告と、アクションアイテムは多いので忙しさは半端ではない。

4.まとめ【グローバル調達は楽しい!】
技術的にHDDを構成部品として搭載する自社製品とのマッチングや個別と総合の性能評価、単体とシステムレベルの品質検査を主導する優秀で猛烈に働く意識高い系エンジニアたちとコアチームを組む。これがものすごく勉強になる。製品知識も深まる。事務系社員の中では事業と生産を見渡して幅広い知識を持つことになるのでトップになれる。事務屋としての経験に留まらない、製品知識、先々のテクノロジーなど学んで分かるようになる。だから刺激とやりがいはMaxである。

  • 多くの取引を自ら扱う中で対外取引のバリエーションの多くを経験・体得する。経理や法務に相談する中で法令遵守や内部統制・監査などの経営管理面・コンプライアンスのノウハウも人一倍研ぎ澄ませる。(副次的効果だが大きい)

一年に4回のルーティーンだが、積極果敢で動的なチーム活動を常に回し続ける。停滞はなく、常に能動的でいわゆる「第一線」の感覚が研ぎ澄まされる。"有利購買"、最適調達を常に意識し、自ら情報を集め、分析し、考えを巡らせる。交渉のシナリオや糸口を悩みつつ自分で企画検討。常に最前線で動き続ける緊張感ある立派な仕事なのだ。

  • こうしてOJTの中で自ずと個人能力を最大限に引き上げ、知見と経験を獲得することになる。結果的に頑張れば自然と組織の中で「できる」人になれるし、引いてはそれら実地に現場で体得してきた力(行動力、情報能力、冷静な分析力や対外折衝力)はどこに出ても、出しても、かなり役に立つ。

こんな風に自信と確信を持てる、すばらしい仕事だと思う。

【追加する関連記事とコメント】

「国の委託、競争働かず」コロナ下、強まる大手コンサル頼み (日本経済新聞6月7日一面) 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE191OZ0Z10C22A1000000/
国の事業の民間委託で発注先選びの競争が働かない、という批判報道。

適切に税金/資金を使うための "調達管理" のためには、1. 調達仕様をコスト視点でまとめられる者 と 2. 交渉上手の調達プロフェッショナル人材 その両者の存在は不可欠。チームワークが必要だろう。

    • 政府機関でもそのような専門性を有する優位人材を持たなければ、他者に常に頼るだけとなり、無駄遣いはなくならない。