👈 "Go European" アプリ。
◉ トランプ関税の政策から1ヶ月ほどで立ち上げた、"アメリカ頼み" から脱却するためのサーチ。いわば、欧州の "自前主義" で、アメリカ製品を入力すると代替品としてヨーロッパの製品が提示される。
- 私見として。米国に政府が公式に報復関税を突きつけることなどせず、静かに、大衆レベルでアメリカ離れのムーブメントを進めたらどうか、など思う。
- 5/12 テレ東・朝のモーサテでこの動きの紹介があった。『要塞国家』と仰々しいことを言わずとも、庶民・大衆が自らの消費行動で、"Buy Own-Country Products" すればよい❗️
✴️ 今年1月21日から継続、日々見続けてきている世界の変動。発端は、2022/2に始まった🇷🇺の一方的な🇺🇦侵略。🇮🇱による🇵🇸ガザ地区への侵攻。続く2024年末🇺🇸大統領選挙の結果と♠️トランプ政権の誕生。まさに激動、激変の世界情勢が目の前にある。
✳️ 時代の大きな "変転" とその背景に隠れた深層がある。それを概念的につまびらかにしてくれた寄稿が日経に掲載された。ぜひとも見逃せないので引用しておこう。
◉ 1976年イスラエル生まれの歴史学者、哲学者であるこの英オックスフォード大学博士。「サピエンス全史」ほか全著は65の言語で累計4500万部発行Yuval Noah Harari 氏
歴史学者ハラリ氏寄稿▶︎トランプ氏が描く「要塞国家の世界」、力による支配招く
(ユヴァル・ノア・ハラリ氏寄稿)
2025年5月9日 2:00 日本経済新聞 15面特集『自由主義的な秩序は「力による支配」に変わる』『ゼロサムの価値観』
『平和は「弱者が強者に従う」こと』
◉記事のヘッドライン
歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は、世界が互いに協力して「ウィンウィン」を志向する自由主義的な秩序を失い、「要塞国家」が力を競う姿に変貌しつつあると警告する。新たな時代の問題と課題を論じた。
(要点、抜粋を続けていく)
トランプ氏の世界観では、国際協定や国際機関、国際法は一部の国を弱体化させて他の国を強くするための陰謀か、すべての国を弱体化させて特定の邪悪な国際的エリートだけが恩恵を受ける陰謀となる。
ではトランプ氏が望む代替案とは何か。望み通りに世界を変えられるなら、どんな世界にしたいのか----。トランプ氏が理想とする世界は要塞国家のモザイクだ。その世界では各国は金融、軍事、文化の面だけでなく物理的にも高い壁で守られている。この発想は相互に有益な協力の可能性を放棄しているが、彼は彼と似た考えを持つポピュリスト(大衆迎合主義者)らは、そうすることが国々により安定と平和をもたらすと主張している。
当然、この考え方には重要な要素が欠落している。数千年の歴史が教えてくれるように、どの要塞国家も近隣諸国を犠牲にして自国の安全や繁栄、領土を少しでも多く確保したいと欲する。欠いているのは、普遍的価値観や国際機関、国際法無しに、対立する要塞国家同士がどう紛争を解決するのか、と言う点だ。トランプ氏の解決策は単純だ。弱者は強者のいかなる要求にも従えば良いと言うものだ。この考え方では、紛争は弱者が現実を受け入れない場合にのみ発生する。したがって、戦争は常に弱者の責任と言うことになる。(中略)
だが、もっと単純な説明がある。トランプ氏が考える国際関係においては正義や道徳、国際法などが考慮に値しない。重要なのは力だけだ。ウクライナはロシアより弱いのだから降伏すべきだった。彼の考えでは平和とは幸福を意味する。つまり、ウクライナが幸福を拒否したから戦争になったわけで、責任はウクライナにあると言うわけだ。
トランプ氏はグリーンランド併合計画も同じ理屈で考えている。弱いデンマークがはるかに強い米国へのグリーンランド譲渡を拒否し、その結果、米国が武力でグリーンランドを征服した場合、それに伴い発生する暴力と流血の全責任はデンマークだけが多いと言うロジックになる。
近隣圧する帝国主義台頭 軍拡競争激しく対立する要塞国家同士が現実を受け入れ、取引することで衝突を回避できると言うこの考え方には、明らかな問題が3つある。
第1の問題は、要塞国家の世界では誰もがあまり脅威を感じることなく、各国とも平和裏に自国の伝統と経済の発展に集中できると約束しているが、それが全くの嘘だと言う点だ。
(中略)
第2の問題は、どの要塞国家も弱い国とみなされるわけにはいかないため、常に軍事力強化を図らなければならないと言う大きな圧力にさらされることだ。
(中略)
第3に、トランプ氏の考え方では弱者が強者に屈服することを期待しているが、相対的な力関係を判断する明確な方法は示されていない。
- この寄稿は、新聞紙面一面いっぱいを使ったもの。歴史的視点に立って世界を非常にクリアに喝破する。為政者の心のうちをわかりやすく解釈し、警鐘をもたらす。
WTO違反の一方的な高関税をかけることで、世界を向こうに回して脅しをかけたステップの後に、各国と交渉をして勝ち取ろうとしている。自由貿易体制を壊し変えていこうとするもの。その一方で覇権争いのライバル・中国を引き摺り下ろしたい。安全保障、経済面での安全保障ともに世界を支配したい。財政赤字、貿易赤字は構造的に減らしたい。しかし強いドルは維持したい。通商面での経済政策は金融市場までを混乱に陥れている。これらと安全保障体制の変革とは基本はリンクしない。一見、バラバラ、チグハグな断片的な政策打ち出しからスタートしており、友好国も敵対国も関係なく、己の理屈に基づく思いつきともみえる政策案をまずソーシャルメディアで口にするという異形のスタイルが、世界経済の混乱に拍車をかける。
そんなことから、今起きているトランプ政権の打ち出しはその目指すゴールにおいて統一的なナラティブを想起しにくい。結果として世界が自らの解釈で米国の行方を理解をしようともがいていること自体、大いなる損失だ。
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普遍的な価値観なくして共通課題に立ち向かえず
- もう一つはこのような考え方は何も目新しくない。過去にも存在していた。
「自由主義的な世界秩序が台頭する前まで、数千年にわたって支配的な考え方だった」
「トランプ的手法は過去に何度も試されてきており、それが普通はどこに行き着くかもよく知られている。帝国の建設と戦争という終わりなきサイクルだ」
👉不確実性・極まれり、の現在。それもサイコロの目が1から6のどれが出るか分からないレベルでの理論的リスクを超えた、深い(不快な)不確実性。経済は市場はこれを嫌う。
この先の世界は変貌を遂げる方向は不可避だと認められる…と、しても、それは『アメリカ合衆国』🇺🇸という国が国民が選択した混乱ある(よくいえば変革をもたらす)次世代の新たな社会だ。
18世紀1776年、北米新大陸に進出したピューリタンたちが、英国🇬🇧の圧政を覆して新国家の独立を勝ち取った。束縛を排除した自由なその大衆の熱気。その勢いに支えられて全く新しく創り上げられた、自由と民主主義の理想を追い求める新大陸の超大国。大きなうねりによる革命的な力がそれを可能にした。
それから250年を経た今、2期目で自信をつけ、確信犯的に世界に混乱をもたらしてものごとを予定調和の対極に変えようとする異形のリーダー、トランプを選び、トップに抱いた一部の米国民。彼ら自身がトランプを選んだことにより自らの理想の大国を壊しにかかっている。冷戦時代の民主国家モデルは音を立ててガラガラと崩れていく。その歴史の証人になりうるのが、今を生きているこのわたしたちなのだ。