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本📖 「世界標準の経営理論」から

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「世界標準の経営理論」

著者 : 入山 章栄/イリヤマ,アキエ
出版社 : 東京 ダイヤモンド社
出版年月 : 2019年12月

借り出した近所の図書館 ; 年末年始を挟んだため貸出期間はいつもより長かった。気づけば、しかし明日が返却期限で延長は不可。まだ1/10位しか読めてないのだ。 急いで飛ばし読み。

 入山博士の前書き「世界標準の経営理論」を手にされた方へ、で書いている通り、六部構成で全41章に終章がある。さらに「世界標準の経営理論」を読んでくださった方へ、では

600万字と言う、とてつもない大著をほぼ書き終える目処がようやく立ったいま、東京の自宅でのこの「おわりに」を書いています。(入山章栄)

 …ここから本著を書いた理由が語られるが、まとめると、"世界には経営理論の教科書が1冊もない" から、"世界の経営理論を完全網羅してビジネスパーソンに伝える本がこの世にはないのでそれをつくりたい"(入山章栄) のだという。

2014年 DHBR ( DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー ) で連載を始めたのがこのプロジェクトの発端と言う。発刊まで五年がたつ。まさに『千里の道も一歩から』、である。

 本ブログ投稿の一つ前で書いている通り、何か大きな「こと」を成すためには長い時間と難しいことを乗り越え、艱難辛苦(かんなんしんく)汝を玉にす🌟なのであろう。🌟(人は苦労や困難を乗り越えることによって、成長し大成するものだというたとえ)

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「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず。 不自由を常と思えば不足なし。 こころに望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基。(徳川家康)

" 何をやってもうまくいかないと感じたときは、思い出そう。飛行機は追い風ではなく、向かい風によって離陸することを。"

( Henry Ford ) 

「世界標準の経営理論」からいくつかフォーカスしてみよう。(表題を引用)

第3部 ミクロ心理学ディシプリンの経営理論 から、第19章 モチベーションの理論

  • モチベーションの仕組みは、人類の関心事
  • モチベーションとは何か

   ・外発的動機
   ・内発的動機

図表1 モチベーションのメカニズムの全体構造

  • 理論1: ニーズ理論(1940年代〜)
  • 理論2: 職務特性理論(1970年代〜)

大企業から飛び出すとモチベーションが高まる理由

  • 理論3:期待理論(1960年代〜)

図表2 期待理論

  • 理論4: ゴール設定理論(1960年代〜)

星野リゾートのモチベーションの高め方

  • 理論5: 社会認知理論(1960・70年代〜)
  • 理論6: プロソーシャルモチベーション(2000年代〜)

リクルートが徹底する、内発的動機× PSM

これからの人材輩出企業の条件とは

……こんな具合で非常に詳しく、微に入り細に入り解説が進み、海外の著名学者による論文からの引用と説明が加えられ、目指す『教科書』的な大著になっている。だからこの一冊全てを読み込むには相当な時間とさらに集中力までを要するだろう。ただ著者はこういう。
各章が独立して描かれており、

  1. どの章から読んでもよいし、
  2. 全てを読まなくてもよい、
  3. 自分の知りたい理論の章だけを読んでも十分に知見が得られる構造になっている

というので、必要な章立てをその時その時に自由気ままに (?!) 参照すればよさそうだ。一つの章は10分程度で速読できる。そんなことで、この本はその目的ゆえ600万字と分厚くなった。

ちなみに筆者のお勧めは、目次の直後にある「ビジネス現象と理論のマトリックス」を見て、「戦略」「イノベーション」「人事」「アントレプレナーシップ」「ガバナンス」などのビジネス現象面から、ご自身の関心があるものを選び、それに関わる理論をマトリックス表から見つけて読む方法だ。また、その助けとして第5分「ビジネス現象と理論のマトリックス」編から読み始めるのもいいだろう。(入山章栄)

……ということは覚えておこう。

最後にひとつ、アッとランダムな拾い読みの結果、行き当たりばったりだけれど、有益な知見を書き出しておこう (笑)

👉(抜き書き・引用部分) :

"まだ「世界標準の経営理論」とは言えないが、今後さらなる発展が期待できる認知バイアス克服の視点を紹介しよう。それが「アテンション・ベースト・ビュー」* である。(入山章栄)

(Attention-Based View, ABV)"  ( * ノース・ウェスタン大学のウィリアム・オカシオ 1997年 )

 ひとりの個人が持つ認知バイアスは、一方向でしかない。しかし多様な人々がチームに集まれば、そのチームが持つアテンション** ( **人の認知的な注意・関心 ) の方向も多様になり、総体として客観的な判断ができるようになるということだ。結果、経営陣が多様性に富んでいる企業は、アテンションを市場競争型に変化させられたのだ。

 この結果は、「一人ひとりが持つ認知バイアスを解消する一つの有用な手段は、やはり経営メンバーの多様性」ということを示唆する。"

( 赤字、太字、*注釈、はblog筆者 )
" 『マインドフルネス』 : 個人の内面からバイアスを克服する手段として示唆を与えるのが、現代の経営学でにわかに注目され始めている「マインドフルネス」( mindfulness ) である。「いまその瞬間に向けて意識を高める」と言った意味がある。

以上の深い洞察や新たな理論の先に次の章が現れ、「さらに読みたい気持ち」を掻き立てる。

👇

第21章 意思決定の理論…意思決定の未来は、「直感」にある。

規範的な意思決定、意思決定のバイアス、直感

(中略) しかし、ここで重要なのは、「人は、合理的論理的にじっくりと意思決定するよりも、時に直感で意思決定した方が望ましい結果を得られる」と言う研究成果が提示されつつあることだ。直感の効能のメカニズムを解き明かしうる視点は神経科学からも提示されており、経営学者も注目しているのだ。(入山章栄)

『不確実性の高い世界では、直感は熟慮に勝る』と (P.392) 書かれているが、その理屈が合理的かつ脳科学の理論に裏打ちされて説明されるから必読箇所と思える。

詳しくは書かないがそれは、(認知)バイアスとバライアンス(Variance) がトレードオフの関係にあることで解説され、納得できる説明だ。

直感の効能についてのエビデンスは、単なる事例だけでなく、認知心理学神経科学、そして経営学の成果として、確実に台頭しつつある。「バイアスとバライアンスのジレンマ」のような、直感の効能を説明する視点も出てきた。とはいえ、これらの研究は経営学では始まったばかりで、「世界標準の経営理論」に昇華したとはまだ到底言えない。筆者からは、そのさらなる発展のために3つの展望を述べたい。(続く)

(入山章栄)

これが、「第15章で解説した(野中郁次郎氏の) SECIモデル *** は、まさにその代表だ。」と続く。*** Google scholarでのこの論文の引用数は二万四千を超える。

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(写真部分の出所 : ダイヤモンド社「世界標準の経営理論」入山章栄著から。原典 : 野中郁次郎『組織的知識創造の神展開」(Diamondハーバード・ビジネス 1999年1-2月号)をもとに筆者 (入山章栄)作成。)

直感の理論の成果は、それを起点として今後の経営理論の大きな進歩をもたらす可能性があるのだ。その変化は、まさにパラダイムシフトと呼ぶにふさわしいものになるだろう。長い意思決定理論の歴史をひも解けば、まずは規範的な意思決定理論から始まり、しかしカーネマンの登場で意思決定バイアスというパラダイムシフトにより第2ステージへ進んだ。そして現在は、直感の重要性を科学的にとらえるパラダイムシフトが起き、意思決定研究は第3ステージに入ってきたのだ。(入山章栄)

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