「夢を失った者は道に迷う」
オーストラリア先住民のことわざ
出所 : AI 2041 人工知能が変える20年後の未来『未来10 豊穣の夢』文藝春秋
Kai-Fu Lee and Chen Quifan 中原尚哉 訳から
カイフ・リー氏が描く未来、といってもたったの20年先だが、それは以下のような世界だという。
【AIと自動化による生産革命】
ロボットとAIはほとんどの商品の生産、配送、デザイン、販売を肩代わりしていく。自動運転者は最小限のコストで自由な移動を可能にし、所有する必要がなくなって経費負担も軽くなる。
AIロボットが人間の家政婦より上手に家事をこなすようになる。単純作業はホワイトカラーでもブルーカラーでもAIに交代する。
- AIは24時間年中無休で働き、病気にならず、不満を言わず、給与もいらない。
- AI生産の原価は原材料費にわずかに上乗せした程度だ。
AIはホワイトカラーの仕事も上手にこなす。AIアシスタントは人間の女子よりも生活を快適に導く。
AI教師は生徒一人ひとりに合わせた魅力的な授業を行う。
AI医師は人間より正確に診断し、治療する。
AI娯楽はリアルで没入的で、それでいてバーチャルなのでほとんど無料だ。(続く)
出所 : AI 2041 人工知能が変える20年後の未来『未来10 豊穣の夢』文藝春秋
Kai-Fu Lee and Chen Quifan 中原尚哉 訳から。【AIと自動化による生産革命】 続き…
ロボットは自己複製、自己修理をするようになり、部分的に自己設計もするだろう。3Dプリンターはますます(中略)、精密な専用品(義歯や義肢)を最小限の費用で製造できるようになる。
家もマンションもAIが設計し、プレハブ建材をレゴのブロックのようにロボットが組み立てる。これで住宅費は劇的に安くなる。
ロボットバス、ロボットタクシー、ロボットスクーターなどの自動運転の公共交通機関がジャストインタイム方式で運用され、待たずにどこへでも行けるようになる。
このようにただに近いエネルギーと、安い原材料と、AI自動生産があれば、世界は豊穣時代に近づく。
✴️ 20年後とされたこの本の2041年、著者のリー氏がいう通りの未来『豊穣の時代』は果たして来るか。あと10年、15年の推移、途中経過などを見ていけば、想定がより確実なものになるかもしれない。
昔、ものづくりには、夢とロマンがあった。また夢やロマンこそがものを作り、何か新しいことに挑戦する、航海の原動力だった。サン=テグジュペリのこの言葉が思い起こされる。
Antoine de Saint-Exupéry
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
(1900年~1944年)
再生AIが、ロボット技術が、世に出た今、これより先の世界でわれわれ人類を待ち受けるのは一体なんだろうか?
冒頭にオーストラリア先住民のことわざを書いたとおり、「夢を失った者は道に迷う」。
AIとロボットなどの人間の生み出したはずの "テクノロジー" が今後自律的に (?!?) 作り上げる未来の姿をあるべきゴール、すなわち「夢」として、まさに今、人類がクリアーに描いてその示す正しい方向・針路へと進まない限り、我々の未来は統一され争いのない平和なものにはならないのではないか?という懸念がふつふつと湧いてくる。
"争いのない平穏な未来" が出来るかどうかは、われわれ自身の責任だが、現在の世界情勢を見守る限りでは残念ながら、それは怪しい気がしています。
Kai-Fu Lee (元Google中国社長、人工知能学者)
- コロンビア大学でコンピュータサイエンスの理学士号を、カーネギーメロン大学でコンピューターサイエンスの博士号を取得。アップル、マイクロソフトの重役を務めたのち、Google中国の社長となる。
- 現在は中国のベンチャーキャピタル、シノベーション・ベンチャーズCEO。
- 著書にNYタイムズ紙でベストセラーとなった『AI世界秩序 米中が支配する「雇用なき未来」』がある。