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紙一重の生死

『亡命トンネル29』

本を読むとは追体験すること。そして、命の懸かった歴史の恐ろしい深淵を覗き見ることができる。

結果は達成感。動機は使命感。

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『どうする、大統領』 - Andyの雑記帳blog (#andy-e49er) by #accurasal で書いたものの続きとして。

✳️ いま読んでいる一冊が『亡命トンネル29

▶︎ この本から少し離れた思考になるけれど。

歴史が証明する国際紛争の危うさに対するアメリカ大統領の国際的緊張事態への対応について "われわれは学ぶべきことがある" な…と珍しく危機感と共に感じた。話は最後に…。

  • なぜなら、彼(大統領)とその政権チームの判断や行動行為、あるいは時に「不作為」がわれわれ自身の平和と安定に決定的な影響を及ぼすものだからだ。

亡命トンネル29 :ヘレナ・メリマン,中島 由華|河出書房新社

✴️ 1962年、冷戦化の夏。

学生のヨアヒム・アドルフは、東ベルリンで待つひとびとのため、壁の下にトンネルを掘る計画を立てた。これは自由のため闘った若者たちの、壮絶な脱出の記録である。

BBC RADIO4, 世界的評価を受けるBBCポッドキャストに基づく実話。)書評こんなふうに

エコノミストストブック・オブ・ザ・イヤー●

  • これは東ドイツの厳しい歴史の中で、最も驚くべきエピソードの一つだ。

──《エコノミスト

  • スリラーよりも手に汗握る。裏切りと挫折を経て勝利に至る、衝撃の実話だ。

──《タイムズ》

  • これは私がこれまでに読んだものの中で、最もサスペンスフルだった。

──《ザ・スコッツマン》

  • 陰謀、スパイ、欺瞞、そして引き離された愛の物語。

──《サンデー・ビジネス・ポスト》

➡️ 1961年8月、人口の大量流出を食い止めるべく、東ドイツ政府は一夜にして東西ベルリンの境界線上に有刺鉄線を張りめぐらし、通行を堰きとめた。のちにコンクリートの壁を築く。また、交通路のみならず、電話線も断ち切った。

✴️ (引用続く) 中略。1962年の夏、工夫を凝らし、不屈の精神をもって長さ百数十メートルのトンネルを掘りあげた若者たちには感服するしかない。(訳者・中島由華、訳者あとがき)

NBCが彼らに密着して制作した1962年のドキュメンタリー「ザ・トンネル」はアメリカの非営利団体インターネットアーカイブ (Internet Archive) 」のウェブサイトから視聴できる。

✳️ (読書感想)共産主義ソ連に支配された東ベルリン。まず有刺鉄線、鉄条網を敷設し、次いでコンクリート壁を建てて東西ベルリンを隔絶したその東側政権の試み。その端緒、先陣が切られた、まさにそのとき は来た。

J.F. ケネディ。当時アメリカ政権の最高指導者にして歴史上ずっと英雄視されてきている その彼は、そのとき何もせず、東ドイツ政権とソ連のやり口を静観しただけ。何らの手を打たなかった。ノーアクション、No decision.

この史実をこの本は教えてくれる。

この不作為にはさすがにちょっと頭にきてる。

この歴史の事実は、つまり時の権力者の判断でできること、できないこと。やる場合、そしてやらない選択肢があることなどを明白に世に伝えている。

たいへん残念なことに、現在ある許し難いロシア🇷🇺の暴挙(ウクライナ🇺🇦への侵略戦争)という根深くて解決の兆しを見通すこともできない、今起きている問題にも深淵でつながってくるということに思いを馳せる。これは間違いだろうか。

ここで話が少し飛躍するが。

✖️ 今日(6/16) 仕事帰りに図書館で目にしたアエラの記事に池上彰氏と外国人の誰だか知識人の対談、それとこの2人が共著したとかいう近々出版される本の話題作りだろうが、現下のロシアによるウクライナ侵攻の見方についての対談が出ていた。

そこでは、

▶︎ロシアの 特別軍事作戦 勃発以降の現在は実質的に、アメリカのアメリカによる戦いであり、アメリカがウクライナを使ってロシアを弱体化させたい意図がある。そしてプーチンもバイデンもこの戦争を停戦する意味を持たない

…的な文脈で評価されていた。一理ある。

✖️ また別の記事。そこでは、

歴代アメリカ合衆国大統領キリスト教プロテスタントでないカソリックなのは、J.F. ケネディと現政権のジョー・バイデンだけだと言うのだ。

▶︎60年の時を経て今、ロシアとウクライナの問題が勃発しているのは偶然ではないという。

  • ソ連・ロシアによる核攻撃(それが引き起こす世界大戦、= *アポカリプス⁉️) を恐れているこのふたりの大統領。
  • その精神構造と評価決断や判断の仕方に、己が信じる宗教的バックグラウンドに根付く類似性があるのだ、
というような宗教と精神性から分析した評価とその文脈が明らかに読み取れる。

(この記事はかの有名な元外務省職員である某氏 (ロシア寄りと目されている)による主張ではあった。その前提で理解すべきだろう)

* アポカリプス(Apocalypse)は、キリスト教においての黙示。 または新約聖書ヨハネ黙示録。 転じて「世界の終末」「大災害」をも意味する。

話を戻す。

 J.F. ケネディ彼の作意と不作為。決断と行動、命令。あの🇨🇺キューバ危機の史実が示す通り、世界の平和を脅かす米ソの核戦争につながりかねない危うい瀬戸際。その崖っぷちで最終決断を下す米軍最高司令官として、あの果敢な勇気ある判断と命令なくば、悪の枢軸による侵略を止められない。そのとき世界は彼の手中にあった。

このことはまさに歴史の事実として今の世界のありようを証明している。

ケネディの強気に出た決断により、ソ連フルシチョフキューバからミサイルを引き揚げ撤退した。結果として人類は瀬戸際で核ミサイルによる最終戦争を避けられた。▶︎アメリカはフルシチョフとの闘いに勝利を得て、世界からの賞賛を獲得しているけれど…これももはや遠い過去の出来事であり、現在のプーチン政権とバイデン政権との関係性が当時と同じではあり得ない。米露関係は異なる。

このようにして、東ドイツの話からキューバ危機を振り返って。今の欧州情勢をみてみると、背筋が凍らないだろうか。

“TUNNEL 29 : The True Story of an Extraordinary Escape Beneath the Berlin Wall by Helena Merriman ”. 河出書房新社

◉われわれ生きる存在。歴史の真実に触れるには読書や映像を見るほかない。この一冊は、終わってみて数十年が過ぎてから振り返った壮絶な人生、一度限りの命懸けの行動の記録。

やり直しの効かない人智を超えた大きな出来事が記録されている。人ひとりの力ではコントロールすることが叶わない、与えられたつらい環境の中、悩み、もがき苦しみ生きていく。

結果は達成感。動機は使命感。

人は流されたり、自分本意でない生き方をしたくはない。命を懸けてでもやり通す時がある。そして命懸けで行うことには大きくて深いわけがある。そのとき人は使命を帯びている。

 勇気と呼ばれる心のありようには間違いなく段階がある。自らの意志で立ち向かったとき。やり通す、負けない、挫けない、諦めない、死を覚悟して、それでも実行するそんな時間帯がその時たしかに存在していた。それをこの一冊で追体験する。『ドラマ』の一言でまとめられる程、簡単でもなく安全でなく。ましてや他人事でもない。そう受け止められるかどうか。

極限と極地での状況下、最大の緊張と最高のストレスを受け、「なにもやりたくてやっているわけでなく。それでもやらねばならない」と信じたからこそこの行動なのだ。決断も紙一重

生きるか死ぬかの問題を追体験する。

そして、命の懸かった市井の人々のリアリティとリアリズムで描き出された、ほんとうの歴史の恐ろしい深淵を覗き見る。そんな追体験ができる。

読書、すなわち追体験することで、未来を学べることは、きっとたくさんある。