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GVCはどこに向かうか

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メガFTA、ともてはやされた2つの潮流、TPP11と日EU協定。これらを活用して自社のバリューチェーンを経営戦略として現実の事業に落とし込める日本企業って現実にはあるだろうか?

GVC(グローバルバリューチェーン)はどこに向かうのか
2021.10.11 今井雅和専修大学教授)の論稿を読んで少し考えてみた。

(論考から一部を抜粋・引用する)
1つは, 中国の経済成長と国際政治におけるプレゼンス拡大が当面続くことは間違いなさそうである。

2つは、このことと関連し、軍事衝突に至る可能性は低いが、「トゥキディデスの罠」 が示唆する、従来の覇権国家(米国)と台頭する新興国家(中国) の対立は当面続くものと思われる。

その結果として、 21世紀に入り進展したシングルスタンダードのグローバル経済は変容せざるを得ないのではないだろうか。

出所 : 世界経済評論IMPACT

GVC(グローバルバリューチェーン)はどこに向かうのか | 今井雅和(専修大学教授)
(world-economic-review.jp)

http://www.world-economic- review.jp/impact/article2313. html

21世紀に入り進展したシングルスタンダードのグローバル経済は変容せざるを得ない

アカデミックだが抽象的な話だ。実際の企業行動はどのようなことになるのだろうか。上の件・本論についての私の見方は :

海外offshore生産を行う日本の "大手企業" がGVC あるいは サプライチェーンを即座に変更することは、かなり考えにくいだろう。

その理由、2つ : 

 1. 構造として一定程度確立したオフショア生産基地やそこへの部材サプライ(資材購入先群…エコシステム) に変更を加える事は一種のオペレーションの一時的な断層を生む行為でそもそも簡単ではない。技術的仕様の見直しや、生産面の条件を変更することに直結することが多いからだ。事業責任者は基本的に抵抗感を持つだろう。なぜなら生産性が一時的に下がるからだ。
2. 変更コストが相当大きなインパクになるリスクを内包する。だからあまり拙速に変えることはしたくないと言う事業責任者として当たり前の心理が強く働く。だからトップダウンなど強力なリーダーシップが出ないと簡単には動かないだろう。

 まさにこの事業構造の変化点と経営意思決定が、一般的な日本の大手伝統的企業における、"日本人経営者" の平均的な(日本的な)考え方(👉そこが海外企業の経営者との決定的な差になりうるかもしれない弱点)だと思う。

 日本企業が新たな海外生産(GVCの変更)を考える際には、まず何よりも
a. 何か、かなり重きを置くきっかけ(危機的な意識)を必要とすることが多い。
(一番弱く、まずい点は、『同一業界の他社がどう考えているかを見る点』であり、そんな横並びの意識から未だに抜けきらないこと)
b. その時、経営上層部がまず  "変えるかどうかを検討すること" それ自体を決める。
→ その時点の国際政治経済情勢、対象国リスクその他を(企画部門が優等生型のお勉強思考で)考慮に入れる、まずこの時点で経営意思決定トップとお膝元の内部でなんらかの打診が起こる。(トップが即決型知恵者でない場合)
→  戦略部門に「検討指示」を下す、
→  いくつかのシナリオ想定の下、優等生的に比較検討した事業計画を策定、提示する、
→  経営会議などで、社内合議を経る(コンセンサスを得る)、
→  それでやっと意思決定するときには、往々にして外部環境が微妙に変わって来ている、(がマイナー要素として無視する…)など、

スピードとタイムリー性、変革することの意思決定プロセスそれ自体に致命的な問題があることがまず思い浮かんでくるのだ。日本型伝統的経営の、決定的に世界から見て弱い点では無いだろうか。
(むろん日本電産のように一種のワンマン経営で即決する会社もあるが…)

👉10/21付け日経新聞に、バイデン米政権の商務長官がTSMCほか各国半導体企業に対して行った情報開示要求に対する各社の否定的で懐疑的な反発の話が報道されている。 経済安全保障に躍起になって、民間企業に高圧的な要求を、政権が焦って押し付けても、顧客情報の開示等センシティブな対応を民間企業が行うはずがない。
したがって例えば経済安全保障の大義名分のもと、いくら政治的圧力をかけようとも、グローバルバリューチェーン(サプライチェーン) は一朝一夕には変わらない
と私は見ているが、果たしてどうだろうか。

➡️ところで、ある人がこう言っている。

RCEPが発効したら、加盟国から産品を一度日本に集荷し、それに日本産品を加えて例えばセットにして加盟国のASEAN国へ無税で輸出し、海外で販売する。

☝️とてもいい着眼点だと思います。

その方が投稿している、RCEPを使った日本をハブとする国際物流と商品配送の仕組みなどで、新規ビジネスが出来ると良いのかもしれませんね。例えば楽天さんとかはやるんじゃないでしょうか。
 ところで(IT系やソフト系を除いて)日本に貿易系の起業が少ない気がしています。その背景にあるのは日本は、運輸、倉庫、航空、船舶・海運、旅行サービスなど、ものづくり後の第三次サービス産業が「そこそこ上手く出来上がってしまっている」から、でしょうか。
 Silicon Valley的な柔軟な発想でデジタルを活かした新規ビジネスの人たちは、ASEAN系には目を向けていない気がします。今後はどうなることか、引き続き見ていきたいと思います。

🔗 www.world-economic-review.jp
続いて『国際ビジネス研究学会』について;

(文中から抜粋・ 引用)参考に。

国際ビジネス研究学会の大会でも、日本企業のグローバルなものづくりと危機対応、非出資型( NEM)国際生産、ロジック半導体のGVC、東南アジアのGVC、欧州の視点、そして多国籍企業の短期・長期・超長期の対応などについての問題提起がなされ活発な議論が交わされる

▼以下は本日のおまけ。