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「赤い髪の女」オルハン・パムクと小説の世界

 今日は、久しぶりの読書感想文です。数年ぶりかもしれません。これまでの私の長い読書生活(小学校高学年以降)の中でも、特に近年はサスペンスものやスパイ物、戦時アクションものを好んで読み続けて来ました。俗世を忘れて集中でき、何よりもストーリーにワクワクすること、面白いことがその理由です。特に資格試験に挑戦していたり、講師の準備をして来たこの3年位はストレスのある自分の環境の逆張りとして生活のバランスを取るためにも、「ただ読み進めれば良いストーリー物」を好んで読んでいました。

 そのような趣旨で近時目につき手に取った一冊が、Michael White 著 The Medici Secret …邦訳・「メディチ家の暗号」でした。数日前に読了しました。超一級のエンタメ小説でした。

中世イタリアに遡る宝(実際は宝探しというより、善悪両用のデュアルユース物質で物騒なもの)をめぐる、歴史サスペンスにもとづくアクションミステリー小説です。派手な場面が多いのでまさに映画化に最適の作品だろうと思います。ストーリーテリング的にはあのダン・ブラウンに匹敵する作品です。

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 昨年夏からまた読書を再開。数多くのサスペンスものやスパイ物、軍事ものなどを読んできています。思えば私が今の図書館方式に転換したのは2006年。会社勤務が府中に変わり、そこで知り合った複数の人たちのお勧めを取り入れたことでした(^^)。感謝しています。

 あれからずいぶん数多くの本を読んだ気がします。あるときはジャンルにかかわらず政治経済社会法律あるいは自然科学系の本まで数多く一度に借りて、同時並行で複数本を読むこともありました。またSNSの使い方のような割とタイムリーかつ軽いノリの「ノーハウもの」を斜め読みすることも多くありました。

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 次は予約済みの、ノーベル文学賞受賞作家トルコのオルハン・パムク Orhan Pamuk の新著「赤い髪の女」にとりかかっています。この小説家、オルハン・パムクの名を知ったのは、やはり2006年の頃だったと記憶しています。確か「新しき人生」と言う作品でした。出だしに突然トラック事故に見舞われる主人公の人生を描いた1冊を読んだのが、このノーベル賞作家にして、トルコ人のパムクとの始まりだったと記憶しています。

 新著「赤い髪の女」のクレジットでは、”いくつもの物語が交差するイスタンブルで新たな悲劇が生まれる”  らしい。

‬👉出だしの4ページを読んだだけでも、何か普通じゃない読み応えを、ガーンと感じるくらい文章がうまい!のです。さすがはノーベル文学賞作家。

日本のノーベル文学賞候補作家の、いくつかの有名な著書は何度か読もうとしましたが、全く魅力を感じなかったのとは対照的。むろんそれとて、単に私の好みの話なのですが…

 

👉オルハン・パムク氏の作品は常に心理描写と風景描写がともに緻密です。

物語を読んでいるはずなのに、いつの間にか作品の主人公の考えに同化している自分を発見する。その精神風景に引き込まれると言ったところです。私の好きなミステリーやサスペンス作品に一脈通ずる「早く先を知りたい!」気持ちがはやる、そんな彼の作品です。

読み終えた今、全体のプロットに歴史的な神話や昔の人間の性(さが)から発する情念から起こる事件に通底する精神世界を、実話ではないのかと思える物語進行とともに描いた良書だと思います。ストーリーの構成自体も実に練られているというか、読者を飽きさせない作家の計算、工夫を感じます。

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 文学小説とは、自分が体験することのできない別の時代だったり別世界で起きる、ある人生を追体験したり、その体験の感触を自らなぞり、想像とともに「自己学習できる学びの場」である気がします。

本を読むことは精神世界の成長につながります。音楽を聴いたり、詩や俳句、和歌などを読むことと相通ずる点があるのでしょう。美術作品をじっくり見て、画家の感じていた想像をたくましくする事にも似ています。NHK文化センターで受講しているクラシック音楽全史のクラスで先生の仰る、音楽、文学、絵画の総合芸術と言う概念を実感しています。

そんな鑑賞も含め、最近ハマっている名画座の映画鑑賞との相乗効果で改めて、確信した・確認させてくれた「赤い髪の女」と言う一級の作品に惜しまない賛辞を贈ります。

 

‪【旧聞です】猪瀬直樹ミカドの肖像

👉旧皇族たちの払下げ土地と西武・プリンスホテル堤康次郎衆議院議長)にまつわる数々のstory。その事実の検証は実に事実は小説よりも奇なりの通り、mysteryじみている。しかしあくまでも史実を追う周到かつ稠密なるノンフィクションであって読み応えはMAXでした。分量膨大。