NEC、宇宙・防衛に照準
専門人材、通信からシフト
2024年10月8日 2:00 [会員限定記事]
☝️写真は日本経済新聞(2024/10/8 ビジネス2 13面)
NECが航空宇宙・防衛(ANS)事業を拡大する。7日、2026年3月期に担当人員を約5500人と24年3月期に比べ約450人(9%)増やす方針を明らかにした。防衛予算増の追い風を捉え、レーダーやソナーの販売を伸ばす。かねて注力するデジタルトランスフォーメーション(DX)支援サービスと合わせ、投資家の注目度も高まる。
「ICT(情報通信技術)領域のトップ企業として契約額が増大している」。NECが7日開いた投資家向け説明会で、社会インフラ部門を統括する山品正勝執行役は防衛事業の手応えをこう語った。23年の説明会で26年3月期に担当人員を約5300人にする計画を掲げたが、今回はさらに200人上積みした。
背景には防衛費の増額がある。政府は東アジアの安全保障環境を念頭に、防衛力の抜本的な強化を目指す。防空レーダーや潜水艦ソナーを手掛けるNECのANS事業も好調で、今期の部門売上高見通しは前期比23%増と主要4事業で最も伸びが大きい。
☝️表 : 日本経済新聞(2024/10/8 ビジネス2 13面)
ゴールドマン・サックス証券の田中誓アナリストはANS事業について「従来は成長事業ではなかった」と指摘する。そのうえで「政府の予算拡大は想定外の超・ポジティブな動き。政府による契約条件の見直しで採算改善も見込める」と予測する。
強まる追い風を捉えるには、需要に対応できるだけの人員の確保が課題になる。NECが得意とするレーダーやソナーといった防衛向け通信システムを手掛ける企業は少ない。精通した人材も豊富ではないとされる。
そのなかでいかに体制を増強していくか。NEC幹部は「幸いなのは通信が全くダメなこと」と打ち明ける。24年3月期は顧客の投資縮小を背景に合理化を迫られる通信事業から、無線技術やセキュリティー技術に詳しい人員を防衛事業にシフトした。
今後は将来の戦力の獲得にも力を入れる。8~9月に開いた航空宇宙・安全保障がテーマのインターンシップには、過去最多で前年の約7倍となる学生67人を招いた。敷居の高い防衛事業だけに、まずは「存在を知ってもらわないといけない」(人事担当者)と取り組みを強める。
かつては半導体やパソコン、携帯電話など世界首位の事業を複数抱えていたNEC。急速な環境変化に対応できずに競争力は低下し事業撤退を繰り返してきた。24年3月期の連結売上高(国際会計基準)は3兆4772億円と、ピークの01年3月期(5兆4097億円)から2兆円近く減った。
反転攻勢に向けて足元ではDX支援サービス「ブルーステラ」に力を注ぐ。コンサルティングやシステムの実装・運用などをパッケージ化し、課題解決策も提案する。同様のDX支援サービスを手掛ける富士通などと事業拡大を競っている。
株価は24年に入って7割ほど上昇し、7日には年初来高値をつけた。売上高は縮んだNECだが、DXと防衛の両輪で成長できる姿を示せれば、株高持続につながる可能性がある。
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以下、株価データ (2024年) 年初来高値
2024/10/7 (月) : 14,470
2024/10/4 (金) : 14,460
2024/10/3 (木) : 14,410
2024/9/27 (金) : 14,280
2024/7/4 (木) : 14,145
2024/7/3 (水) : 13,885
2024/6/27 (木) : 13,720
2024/6/25 (火) : 13,065
2024/6/19 (水) : 12,900
2024/6/17 (月) : 12,760
2024/6/14 (金) : 12,690
2024/6/11 (火) : 12,555
2024/6/10 (月) : 12,315
2024/6/07 (金) : 12,120
2024/5/28 (火) : 12,020
2024/5/27 (月) : 11,920
2024/4/12 (金) : 11,675
2024/4/9 (火). : 11,560
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