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“IPEF貿易交渉、漂流の足音” (NIKKEI)

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( Xにポストされている日経電子版の画面から )

Headline : “IPEF貿易交渉の漂流の足音”とは、実は表面に過ぎない。アメリカから世界の秩序が崩れて破壊されていく。次の世界秩序は創り出せるか、それが最も大きな課題である。

アメリカの大統領選挙を控えて日本を含む貿易相手国には芳しくない動きと予測が出ている。

この状況を知るにつけて、私が思うのは、次のようなことである。

👉 "世界の警察官" を務めたWWII 以降の大国アメリカはパクスアメリカーナの役割を自ら辞した。しかし中国をアメリカに代わる覇権国にすることだけは世界の盟主として阻止したい。その矛盾の中、DT氏のような型破りの大統領を産んだ。だが産んだのは米国民、その選択である。

👉 日本と波長を合わせるかの歩みで完成させたはずの環太平洋自由貿易協定 (TPP) からは脱退した、超内向き思考の Make America Great Again "MAGA" とは、国内の白人中間層以下の労働者に受ける単純なものいいのスローガン。自己矛盾をはらんで皮肉にも聞こえる。もし次の米国政権もこの🇺🇸"MAGA"に突き進んだとき、世界貿易はかなりの痛手を被り、あらゆるところで2極分化、二項対立が拡大しそうだ

👉 米国こそがグローバリズムの終わりの始まりの扉を開けた。

  • 自由貿易協定(FTA) やそれとほぼ同義である日本式ネーミングのEPA ( Economic Partnership Agreement )「経済連携協定
  • 中でも "メガFTA" と呼ばれた多国間の枠組みでの関税削減システム :
  1. TPP11(またの名を, CPTPP, Comprehensive 〜) 2018/12/30 に発効
  2. 次いで 翌2019/1/1 には日本とEU🇪🇺との間の日EU-EPAが発効。

これら大きな枠を作って自由貿易の国々を囲い込む、複数国包含型の自由で開かれた貿易への取組みは、グローバリズムと言われもてはやされた世界貿易拡大志向の一大潮流が、ついに終わりの時を刻み始める、その始まりだった…のかもしれない、ということ。その怖れである。

日本経済新聞の2024/2/3 (土) 朝刊2面 : 

IPEF貿易交渉、漂流の足音
旗振り役の米国が障壁に 

内向き政治の深まり映す
真相深層 2024年2月3日 2:00 [会員限定記事]から全文
 米国が主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」で貿易分野の合意が見通せなくなっている。米政府は表向き交渉を続ける意向を示すが、国内の有権者を意識して内向きの政策を強める与党・民主党が強く反対する。中国対抗のための経済秩序の構築は、旗振り役の米国自身が壁となり漂流しつつある。

「もう終わった」
 「バイデン政権はIPEFの貿易項目を撤回した」。1月3日、与党・民主党のシェロッド・ブラウン上院議員は中西部オハイオ州労働団体幹部らを前に宣言した。「私は州の労働者を代表して大統領が進める悪い協定と闘ってきた。これは決して変わらない」と強調した。

 IPEFは日米や東南アジアなどの14カ国が参加し、4分野をテーマに交渉してきた。昨年11月までに脱炭素を促す「クリーンな経済」、税逃れを防ぐ「公正な経済」、「供給網強化」の3つを取りまとめたものの、残る「貿易の円滑化」の合意は持ち越された。

 米政府は11月の会合で貿易分野の妥結を目指したが、ブラウン氏らが会合の直前に反対を訴えて膠着した。ブラウン氏らは単なる先送りではなく「交渉の撤回」と説明。米メディアに「もう終わった話だ」と断言した。

ブラウン氏は大統領選の命運を握るオハイオ州の選出で、下院7期、上院3期を務める重鎮だ。今秋の大統領選で再選を目指すバイデン大統領の陣営に「激戦州の選挙戦術を指南する」(米政府元高官)立場にある。

 民主党議員には環太平洋経済連携協定(TPP)のトラウマがある。2016年の大統領選は共和党のトランプ前大統領がTPPからの撤退を公約に掲げ、中西部の労働者票を取り込んで勝利した。

中西部に集積する鉄鋼や自動車産業の労働者には、海外から流入した安価な製品が米国の製造業を衰退させ仕事を奪ったという意識がある。前大統領はそこに勝算を見いだし、米国第一のスローガンを唱えた。

 米調査会社ユーラシア・グループのデビッド・ボーリング氏は「米国がこの先、IPEFの貿易分野の妥結に向けて真剣に動く可能性はゼロに近い。仮にバイデン氏が再選しても機運を盛り上げるのは難しい」とみる。

IPEFは21年に発足したバイデン政権が打ち出した構想だ。米国のTPP離脱により中国が影響力を増したアジア経済圏で巻き返しを図る狙いがあった。関税を交渉項目に含まずTPPより緩やかな枠組みだが、「選挙を控えて『貿易』という言葉自体が政治的なタブーとなってしまった」(ボーリング氏)。

参加国は失望
 貿易分野の実利を求めていたIPEF参加国からは失望の声が漏れる。「米国は口先だけで終わるのか」。IPEF会合で東南アジアの代表団の一人は不満を漏らした。

バイデン政権がIPEFの中南米版として立ち上げた「経済繁栄のための米州パートナーシップ(APEP)」も域内の利害対立で棚上げされた。鉄鋼・アルミニウムを巡る欧州連合EU)との新たな貿易枠組みの交渉も道筋が見えない。

 米国の貿易政策の停滞は、米政治の内向きの潮流が党派を超えて深まっている証拠でもある。

自由貿易という手法は私たちを脆弱にした」。米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は昨年12月の講演でこう語った。

バイデン政権で通商分野の対外交渉を取り仕切るタイ氏の発言は産業界からも驚きをもって受け止められた。聴衆からは「トランプが正しかったと認めるのか」とやじが飛んだ。

本職である貿易交渉の仕事を失ったUSTRからは人材流出が始まった。IPEFで調整役を果たしてきたビアンキ副代表は1月末で退任した。法律顧問や首席補佐官などの幹部も相次ぎ離職した。

「過去10年間で米国の貿易は後退してしまった」。米商工会議所のスーザン・クラーク会頭は米政治に危機感を強める。「ビジネス界はグローバルなリーダーシップの必要性を理解する政治家を求めている」と訴えるが、労働者の支持を優先する政界との距離は遠い。

(ワシントン=飛田臨太郎)

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