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ITシステム事業の競争戦略とmake or buy

こんな記事に目が釘付けになった。4/15

富士通の組織再編、背景にアクセンチュアへの脅威?」ZDnet Japanから、

記事リンク🔗

https://twitter.com/zdnet_japan/status/1249820414622060544?s=21

内容はリンク先の記事をお読みいただき、考えていただく事にして、

ここでは以下の評価を展開してみたい。(生産機能は不要だ、

調達部門がより必要だとの先入観から書いた論理ではないことを

予めお断りしておきます。)

🔻

『ITシステム事業競争戦略とmake or buy』

1.  この記事内容にあるF社の経営変更判断は、強力な競合に

対抗する戦略として正解だ、と言う感じがしています。

そこでF社がこの戦略を取ると、同業のN社などは

苦しくなるのでは無いだろうか?

そんなことをまず真っ先に思いました。それはさておいて

 

2.  アクセンチュアはその生業から、もちろんIT機器の自社製造販売は行わない。

だから総合システムを受注したら、基本は機器類は外部調達、外部からの

仕入れによるトータルシステム構築となるだろう。


👉最適のハードウェアを、顧客の好み、あるいは自社判断により選べる。

サーバーやストレージなどの構成要素となるハードウェア製品を自由に選べるから、

メーカーが自社内生産品を自社ソリューション部門向けに社内付替えとして

内部で売り渡す会計処理をしてシステム構築時に使うことはしない。

この結果として何が起こるか? 製造系の従業員と製造設備の固定的な

投資が不要な分、当然営業利益率が高くなる。

 

3.  このように中立なる理屈をベースとして素直にそのまま考えれば、

どうだろうか?

まず、日本の80年代に " JAPAN as No.1 " ともてはやされた

製造業モデルで功を奏した、あの伝統的な

「縦型なんでも社内でできるスタイル」のビジネスモデルは、work しない。

この仕組みは当然とっくに古くなっていた、と言わざるを得ないし、

ほとんどのこの業界に属する人は誰でも皆、分かっている。さらには

意外に認識されていないこととして、以下の話もある。

👇👇

特にIT機器の場合、WTOIPA協定で輸入関税がゼロ設定

(関税フリー、かからない)物品が大勢を占めている。だから

国内生産するより海外調達を含めた外部調達はずっと合理的だと言える。

しかし現実のビジネスの進め方は違う。

このような意思判断による形にはなっていないのだ。つまり、

こうした内外比較、make or buy 判断によるよりも、次のような判断が行われる。

🔻

日本企業のシステムプロバイダー事業部門は、

設計者の好み(構成機器群やソフトウェアの判断)で

システム全体設計・機器構成の指定を行う。

その帰結として機器選定を行うことが当然行われる。

そこでは、事業利益追求よりも、社内製品を優先的に使うバイアスや、

無理を聞かせて社製品を値下げさせるといった誤った社内事業部門間の綱引き、

つまり社内政治力学が独り歩きしたりする。

結果的に社内調整が発生する。その先は推して知るべし。

 

これでは当然良い調達(=事業展開に直結)は出来ない。

この背景にはいったい何があるのか?

選定自体(何を買うか)は基本事業部門(SBU)が決め、

購買部門(どのように買うか…どれだけ安く買うかだけを目指す)

に機器選定権限はないことが多い。

これが多くの電機電子メーカーの既定プラクティスである。

 

4.  少し考えてみればよく分かるだろう。

元々、外部調達を行う機能組織(資材購買部門)は、工場で自社製品を

作るために必要な資材素材・電気電子部品・副資材、ソフトウェア、そして

また製造外注など、あらゆる生産リソースを社外から購買してくる。

彼らはなんでも自由自在にいろいろなチャネルで買えるわけだ(原資さえあれば)。

その視点において当然、社内生産部門の競合でもあるわけだ。

社内で作るより外部調達した方が固定費はかからず変動費として身軽だから、

経営判断として外部調達優位とすることは一つの選択肢だろう。

 

👉ここまで冷静に考えれば、make or buy 戦略では、一部の例外的な戦略品

(それは入手困難品や独自技術品などのシングルソース品)を除いて、

多くの場合 buy の方が合理的だ。

しかし大抵の場合はSBU(事業責任者や設計部門などの利益創出部門)

が決めたものを、購買は社内指示を受けて、『単に』うまく・安く

希望納期に合わせて、買ってくること(だけ)にその組織をアラインし、

機能性を置いている。そしてまた社内の組織評価軸を内部で厳しく

(原価低減率や、納期遵守率などに)設定されているのだ。

 

【短い結論として】

 既に先行する業態で歴史が創られている。

90年代から半導体事業が真っ二つに分かれて、製造部門とマーケティング・開発系に

水平協業する形でグローバルなサプライチェーンが大きく進化を見た。

考えてみて欲しい。ITソリューション事業についてもほぼ同じ理屈が適用できると思う。

つまり、F社の経営構造改革は戦略的に合致している。

A社に対抗していくためには理に適った変化であると前向きに評価して良いだろう。

 

あえて最後にひとつ付け加えるならば、社内のITソリューション部門向けに

自社が競争力を有する機器ソフトウェアを専属的に製造、顧客ITプロジェクト向けに

供給する製品領域のみに自社の生産機種を集中させ、特化することが、

生産部門の強みを活かす方策のひとつと言えるのではないだろうか。。

 

※本論はあくまでも筆者の個人的見解であり、何らの保証や補償を伴うものではありません。