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デジタル貿易協定・FTA、そしてBEPS

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最新イシュー🔻(2021/12)

件名: 米国のアジア太平洋デジタル経済協定構想を考える国際貿易投資研究所(抜粋)

1. 米国の関与が始まった

2. 重層化に向かうアジア・太平洋地域の経済・貿易協定

3. DEPAとは何か

🔗リンク👇

https://www.iti.or.jp/ flash499.htm

(オリジナル投稿 : 2021/7 時点)👇

 久々の貿易(国際取引)ネタです。国際取引をするときに、税の問題は絶対に避けては通れません。デジタル貿易での大きな課題は電子商取引に関わる課税『徴税』と直結します。国際間取引での必至の課題です。

 報道されている通り、OECDで相当な数の国(139ヶ国と地域)が基本合意をした国際課税の方針変更検討が新聞に大きく連続して報道されています。

7/10ベネツィアG20でデジタル貿易(電子的商取引)における法人税課税ルールの歴史的転換が決まりました。要はPE課税から外れるということになり、大きな変化がこれから起きるでしょう。

 この課税権行使ルールの歴史的変更は、新たにグローバル大企業への国際課税率を "最低15%" とすることで各国が7/10 ベネツィアG20で歴史的合意に至りました。

記事はこちら(日経電子版)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR08DU80Y1A700C2000000

G20、法人課税で「歴史的合意」 最低税率15%以上 / 財務相・中銀総裁会議が閉幕

大きな変更とは、現状の課税ルールそして従来型の『PE(Parmanent Establishment)恒久的施設』課税(いわゆる "PEなければ課税なし" )からは大きく転換すると点にあります。

要諦としては、一定の売り上げ収益(営業利益)を上げた企業の利益のうち、あるパーセンテージを、PEが存在しないEC取引の買い手側=消費者が存在する国で新たに課税すると言うもの。それにより、グローバルビジネスで巨大企業が得た利益を、PEを相手はいない電子商取引すなわちデジタル貿易の相手国において、新たに税として徴収しようと言う趣旨です。

デジタル課税は売上高200億ユーロ(約2.6兆円)、税引き前の利益率が10%超の企業100社程度を対象とする。

米IT大手などへの課税強化を想定している。工場や支店などの物理的な拠点がなくても、サービスの利用者がいればその国で税金を徴収できるようにする。

(日経電子版から引用)

ところで、

このデジタル税制と密接に関係してくるのが、『デジタル貿易協定』と言うことになります。

FTAと言うとイメージ的には『物品貿易における原産地規則と現産品であれば関税が譲許される』ことを思い描きますが、既存FTA中にデジタル貿易について規定している場合もあるのですね。

 

さて、関連するデジタル貿易については、「フラッシュ489」で一般検索すると、論述 :

WTOデジタル貿易協定の行方
著作者 : 岩田 伸人
(一財)国際貿易投資研究所 客員研究員
青山学院大学地球社会共生学部 教授

が読めます。

WTOとしてのある意味で統一的な(世界共通としての)デジタル貿易交渉が進行中ということですが、以下引用したくだりでは、WTO枠外としてのFTA領域で書かれており、そこはどうなっているのかと言う視点の参考情報になります。抜粋を引用掲載しておきます。

🔗 http://www.iti.or.jp/flash489.htm
🔻
(抜粋・引用)WTO枠外でのルール作り

  •  WTO枠外でのルールとは、WTO全加盟国のコンセンサスが不要なルール・協定のことであり、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)やCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)のような大規模な地域貿易協定だけでなく、 
  •  日米デジタル貿易協定(2020年1月発効)や英国・シンガポール2国間で交渉中のデジタル経済協定(Digital Economy Agreement、以下、DEA)、
  • さらにはシンガポール・N Z・チリ3国間のデジタル経済連携協定(Digital Economy Partnership Agreement、以下、DEPA)などがあるとのことです。
  • また、シンガポール・豪州FTA(2003年発効)のように既存の第14「電子商取引」章を、新たな第14「デジタルエコノミー」章に改正(2020年12月)するケースもある。

文中の○整理は本ブログ作者による。

最後に本稿での(論点の整理として)

  1. WTOとしての統一的な(世界共通としての)デジタル貿易交渉が進行中ということですが、引用紹介したようなWTO枠外としてのFTAでも、デジタル貿易に関する協定で既存のものがあるわけです。
  2. 今後、G20の結論を踏まえた各国の徴税に関する国内法改正との整理が必要になってくるものと思われます。
  3. 実務相談において、中小中堅企業や個人事業主の行う電子商取引に関して、上述の徴税ルール転換後を見据えた税務know-howが、中小中堅企業や個人顧客から今後要求されてくることが考えられます。