-『国債クラッシュ』第1部 ｼﾑﾚｰｼｮﾝ「2012年国債ｸﾗｯｼｭ」から引用
･･･そもそも、新興国のライバルを追撃するためには、彼らに習ってアメリカやＥＵなどの大消費地と自由貿易協定（ＦＴＡ）を結ぶ必要があるわけだが、政府の異常な財政政策によって円安となっている状況下で、果たして締結交渉がうまくいくのだろうか？
ＦＴＡとは、２国間または複数の国の間で関税を撤廃し、貿易量の拡大を目指す枠組みである。関税を撤廃することで、それまで価格面で保護されてきた国内産業が激しい競争にさらされる以上、せめて国家と国家、市場と市場の間で構築されるルールはフェアなものでなければならない。そこでもっとも重要になるのは、相互の為替政策に対する信頼だろう。意図的に自国通貨のレートを引き下げるような相手と、ＦＴＡを結ぼうとする国などあるはずがない。
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