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メガFTAが世界の潮目を変える(中国のアジア経済制覇の野望)

(表題変更_11/23)メガFTAが世界の潮目を変える(中国のアジア経済制覇の野望)
2020年後半の大きなニュースは、なんと言ってもRCEPだ。国内産業へのマイナス面を考慮して内政重視に傾いたインドが直前で離脱したため、15ヵ国で署名された。
東アジアと太平洋地域で新たな地経学の闘いの幕が切って落とされた。

👇 (参考:インドの離脱

andy-e49er.hatenablog.com | https://andy-e49er.hatenablog.com/entry/20201116/

世界の最新ニュースに触れた今、直感的な思いを書き下ろしてみた。(11/22朝)

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(Photo: by andy-e49er at outside of Roppongi 1-Chome Metro station.)

🔻

・1つ目は、日経 11/20
mx4.nikkei.com  http://mx3.nikkei.com/?4_--_272522_--_610351_--_1

👉

twitter.com  2020/11  https://twitter.com/i/events/1329964986760761345?s=11

・2つ目は、日経11/21 朝刊一面トップ記事
mx4.nikkei.com    http://mx4.nikkei.com/?4_--_177932_--_888745_--_5

■中国、世界のEV生産の約4割を占める
■中国メーカーも欧州や北米への輸出を開始
■販売・生産で世界を主導する「EV強国」に (出典 : 日経電子版)

---------------------------------------------------------------------------------------------(11/22 日曜、日経新聞5面に、同様の趣旨の記事が出た。意を強くした)見出し👇

アジア経済覇権 中国、米の隙突く
・リーマン後、空白の10年
・TPP・RCEPで思惑
  ・中国がアジアで経済圏づくりを進めている(中国向け輸出の規模は米国向けに匹敵)
APEC参加国・地域の輸出全体に占める米中向け輸出比率は、2001年に米が4割近く、中が10%未達成だったものが、2010/15/19年の期間では、両国ともにほぼ2割の前後で拮抗している。
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※以下は直感的な私見です。詳しいデータ検証は行っていません。
流し読み程度の内容、考える契機として下さい。

★自動車本体(完成車)について日本は輸入関税ゼロであるが、各国はまだ関税を課している。ましてや生産のための各種部品類には関税がかかるのが現状の姿だ。

★日本は日EU・EPAで自動車部品の関税が譲許されることにより、日本からEU諸国への輸入に関税がかからなくなる。これが輸出事業による業界繁栄につながり、ウェルカムなのだ。今後はRCEPも使える。RCEPの締結国である、中国と韓国、ASEAN10ヵ国、豪州とNZというアジア太平洋地域に広く「低コスト供給網をつくる」など、輸出事業の可能性が大きく広けることになる。
★特に中国と韓国との間の日本の自由貿易協定(FTA/EPA)は初めてだから、
そのプラス効果は比べ物にならない。(もちろんマイナスの影響もあるが)
2019年2/1発効の日EU協定から続いて、
日本の中小部品メーカーには基本的に大変明るい見通しなのである。
(参考:日本の中小企業 【中小企業庁の資料】)

◉今後の中国、習近平(シージンピン)体制はどこへ向かうのか。

・RCEPが調印され来年2021年に発効すれば、
さらに上述記事にある通り習近平が今回初めて表明した* TPPへの参加…

・中国がTPPにも希望通り加盟すれば、自動車部品の輸入関税はこれら複数のメガFTA/EPAにより撤廃が確定する。その関税撤廃の効果として、中国はこれらEV車向けの部品サプライチェーンコストが複数の国との間で下がることになる。
習近平(シージンピン)発言のタイミング ;*これは間違いなく今のアメリカ大統領選挙後の混乱を好機と捉えた発言に違いない )

 以下は仮定・予想である。

米国資本のEV専業メーカー・テスラモーター社が世界制覇に向けて加速する。
日本を始めとする高品質の基幹部品やモジュールを中国生産工場へ供給し、製造したEV完成車をEU諸国へどんどん輸出するだろう。

RCEP成立で日本へ、韓国へも。さらに豪州とNZにも輸出メリットができる。RCEP加盟のアジア太平洋地域の複数国へ輸出して行き、市場シェアが高まる。
そうなると
生産数量が増え、相乗効果がますます増大することになる。そして究極的には世界を網羅するグローバルバリューチェーンサプライチェーンが完結する。
テスラの主力生産基地である米国カリフォルニア州 Fremont は、元々はトヨタGMの合弁企業であるNUMMI **の自動車生産工場だったことは、一種の因縁になるのかもしれない。
**NUMMI(New United Motor Manufacturing, Inc.):2004年に20周年を迎えた。

 メーカーの事業はなんと言っても生産量がキーポイントだ。B to Cの製品事業であれば当然に、販売量の拡大が最重要だ。販売が伸びて生産数量が増えれば、部品所要は増える。量をより多くサプライヤーから部品調達することで単価が下げられコスト低減が図れる。仕入調達コストは、FTAによる関税効果で更に下げられるから、大きい。

 EV自動車の中国生産を震源地とする世界戦略は、部品調達と完成品輸出のバリューチェーンサプライチェーン網を世界規模で最適化することが最重要かつ絶対に必要だ。そうであれば複数のメガFTAを考慮した事業戦略で資材調達や物流の最適化を立案し、FTAを駆使して完成品生産国と部品調達国、それに販売市場国の3要素での最適mixを決めれば良い。

 複数のFTAを使いこなす相乗効果によりコスト削減が可能になる。まとめ生産で量産数量の増加を満たせば製造効率化も寄与して製造歩留まり改善にも有効である。だからテスラ中国の集中生産は大きく進展するだろう。これにより中国生産と世界のマーケットへの供給体制がさらに深化していくことが予想される。

このメガFTAの構図、経済環境それ自体は車生産で先行して来た韓国…もちろん日本にとってもフェアに全く同様であるのだが、問題は商品企画力やマーケティングの差だ。

要はストーリー性のある商品で、消費者に支持してもらえる良き世界観を描ける商品デザイン力というフロントマーケティングと、裏方(バックヤード)である製造のためのサプライ管理・部品調達力という、車の前輪と後輪の両方が駆動する全輪駆動のエコシステムをいち早く確立した者が勝ち残るだろう。

バックヤードの体制をある程度確立した上で、フロントヤードで他社より先行することがメーカー成功の絶対条件だ。この点でテスラは一時期の経営者問題や生産における問題が発生した時期を乗り切ったと思われる。

👉日米のレガシー自動車OEM(メーカー)が危ない。メガFTAは必ず有利に立てる十分条件ではあり得ず、単にグローバル事業展開でのツールとして必要条件に過ぎないからだ。テスラは中国生産と欧州への輸出で先攻する。電池やモーターがコストダウンして行けば、日本市場も危なくなる。米国は一国主義で環境問題に疎く、ガソリンを大量に要する大型ピックアップトラックや大ぶりのSUVが好きだ。米国メーカーはなんとか市場をキープするかもしれない。

◉車は言うまでもなく国家の産業として最もメジャーな産業・製造業であり、そして輸出産業として貿易収支に貢献する。その雇用については言わずもがなである。国家運営と貿易への影響は計り知れない。

◉世界の勢力図大変革の到来。それが習近平のTPP加入希望の宣言により、すぐそこに現実味を帯びて見えてきた。

RCEPとともに、TPPも合わせると世界の製造業勢力図が中国とASEANを軸に大きく変わる。今年と来年が業界再編の最大のきっかけになりそうだ。RCEPはその号砲を鳴らした。

(引用 : RIETI レポート 🔗)中国が関係しているFTA関係国等(下記を参照)

http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H27_Post-TPP/05-ehara.pdf

f:id:andy-e49er:20201121113855j:image

 

この状況、日本の自動車メーカー(OEM)には、大局的にマイナスかもしれない。
なぜか?

 パソコンと同じで、モジュラー化が進んだ車は、生産が容易である。アナログ的技術調整(噛み合わせ作業)が基本的になくなるからだ。デジタル化された電化製品としてのEV自動車は、誤解を恐れずに言えば、駆動する電動モーターと高性能で安全な電池があれば作れる。大雑把にいえばあとは方向舵とタイヤがあればよい。制御は全て電子・コンピューターだからITの塊と思えば良いだろう。つまり車の製造と言う事業への新規参入が『劇的に容易』になった。このことは既に広く知られている。パソコンのようにプラモデル式にモノが組み立てられれば誰でも作れてしまう世界だ。製造用の組み立てロボットも進化し、AIもある。今、必要な資本投下と最新技術さえあれば、車はおろか高度な産業機械や重機も同様に作れる時代となった。だからこそテスラのような新規参入が出来たし、時価総額的にあそこまで伸びている。

 既に鉄鋼から重化学工業まで揃っている中国(核兵器も作れる)が世界の生産拠点としてのステータスを一層強靭なものとすることは間違いないだろう。このメガトレンドにより共産党一党独裁体制の中国が世界経済を牽引する(牛耳る)日は、その入り口に到達した、と私には見える。そもそも、現在のCASE時代の到来で、トヨタ豊田章男氏)が持つ大いなる危機感については、別項で既に触れたところだ。
【自動車のCASEとは;
 コネクテッド(Connected)自動運転(Autonomous)シェアリング(Shared)電動化(Electric)


 トランプのような "にわか政治家" が、やや浅はかとも思える関税で対抗する小手先の短絡思考と戦術では、SDGsなどが叫ばれている今の環境下で一帯一路戦略を持ち、RCEPに加盟した中国に真正面から対抗するのは難しくなった。この4年間で失った時間から状況はかなり厳しい。民主党大統領政権に変わり、政治と外交に長けていると一部に期待がある ”白人長老" であるバイデン・ハリスの新政権とアメリカ合衆国はこれからどう対抗していくのか眼が離せない。

💮"白人長老バイデン" については別の記事で書いてます👇

https://andy-e49er.hatenablog.com/entry/20201109/1604909823

f:id:andy-e49er:20201121200753j:image

🔺半導体製造装置で、私が80年代末期に米国現地生産にが変わっていた頃から気を吐いていたニッポンのメーカーの勢いがサチって来ていないか、とても心配している。