読めば読むほど、「えっ!?2006年の時点でもうこうだったんだっけ??」と驚く発見が見いだせる。Web2.0 Book.
・・・2006年と言えば平成18年に当たる。少し当時を振り返ってみるのも有意義かもしれない。
(Wikipediaから:2006年(平成18年)1月16日 - 証券取引法違反容疑により、六本木ヒルズのライブドア本社や堀江貴文の自宅など、東京地検特捜部による家宅捜査が行われる)Wikipediaから抜粋引用して続けると、懐かしく面白い
・・・2005年(平成17年)2月、社長を務めるライブドアはニッポン放送の株を35%取得、最大株主となる。その後2月21日現在ニッポン放送株を40.1%取得。株取得報道直後から当時ニッポン放送子会社だったフジテレビジョンを出入り禁止、平成教育2005予備校から降板させらる。この時にフジテレビと大きな騒動となり報道機関が殺到することになる。その時に彼が言った言葉で有名なのは、主に
「想定の範囲内」 という言葉がある。
・・・2005年(平成17年)4月、ライブドアとフジテレビジョンとの間で和解成立。ライブドアの所有するニッポン放送株式全てをフジテレビが取得することが発表。フジテレビ側がライブドアに支払った金額は1400億円ほど、2005年(平成17年)のフジテレビ株主総会で株主らが日枝久会長ら経営陣や堀江貴文に対し批判。またこの和解によってフジテレビ出入り禁止は解除。
・・・2005年(平成17年)7月23日放送のFNS25時間テレビよりフジテレビの番組出演が解禁され、細木数子との対談を行った。この時六本木にあるライブドア本社からお台場フジテレビのスタジオまでマラソン姿で走り、久しぶりに
「想定の範囲内」という言葉が使われた。)
私事で恐縮だが長い企業生活の中、わけあって、この分野に直接関わるノンハード事業で日米での仕事をした稀有な時期にあたっている。勤務オフィスが東京都下から都内に変わり、今でいう六本木ヒルズのヒルズ族とか、株の話が沸きあがっていた時期だったと覚えている。当時、『ロング・テール』や20対80の法則などが大流行したものだ。新たなコンセプトや技術が乱立して市場をリードし始めた時期であり、私自身もいまのこのブログにつながるキャリアチェンジに身を投じた(投じかけた)時期だった。その頃は思えば2008年のRehmanショックもまだ起きておらず、ある意味で、世界と日本の経済が希望と興奮に包まれ始めていた、一種の熱い時期ではなかったか?と懐かしく回想してしまうのは果たして私だけか。
話を戻すことにしよう。
(小川浩・後藤康成共著:2006-3-11 初版発行 インプレス)
【読後感】少々旧聞に属するが、あらためて Web2.0 について、関連用語の定義とともに「技術とニーズの流れを確認できる」一冊だった。例えば教科書のように、見開きページで、左右の端には用語説明が掲載されている。技術専門者でなくとも、これで理解が進む。再掲の場合、掲載ページがどこかなども出てくる。なので読み進めながらもすぐに相関検索ができる。これは、いかにもこの手のハイテク解説本。「ブログ」構造化(2.0世代)を地で行く編集として「構成」・「編集」されている点に気づくとそこがまた面白い。実用的になっており、全体の構成も的確なのでそのまま頭から順に読み進むのが一番効率的になっていると思った。つまり5年も前に出版された「古い本」なのに、かなりよく工夫が凝らされている。また5年経った今、読んでも古さは感じない、ということは、2006年に起こった技術の変化やその芽は、2011年になった今も骨格的には(それらの延長線上で)基本構造は大きく変わっていない、進化を遂げてはいても・・・ということが分かる。その意味でも今、読んだのは良かった。
■インターネットとイントラネットの垣根が崩れる(P.178から一部引用)
・Web2.0は、OSがプラットフォームであった時代から、Webがプラットフォームの時代になるという環境変化。
・マイクロソフト(MS)に代表されるソフトウエア型企業からGoogleを筆頭とするWeb型企業へというパワーシフトが起こり、MSの牙城であるデスクトップ市場に、多くの企業が侵攻しはじめている。(注記:イントラネットとは、企業内に閉じたインターネット的な検索とかデータ(ナレッジ)共有の仕組み)
■Appleに見るデータ命のビジネスモデルの台頭(P.180から一部引用) ・Appleは、MacでもWindowsでも動く、iTunes と、Webサービスの iTMS(i Tunes MUsic Store)、そして iPOD という商品との組み合わせで、新しいプラットフォームを作りつつある。
・Appleは2006年、ついに(CPUを)PowerPCからインテルアーキテクチュアへ切り替えた。それでMacBook Proやインテル版iMacを発表した。これはAppleがデータをより簡単で快適なインターフェースで処理するためのアプリケーション(ソフト)をつくることに集中し、ハードウエアのアーキテクチュア開発に対して経営資源を割くことに興味を失った証拠。一昔前は「インテル・インサイド」のように、デスクトップ・コンピューテイングについてはインテルのCPUこそがすべてだったが、Web2.0においては、データこそが全て。プラットフォームがOSからWebに移行し始めている時代にあっては、実はブラウザーやOSはなんでもよく、ユーザー嗜好に任せて、Webアプリケーション(ソフト)、Webサービスを提供することが重要。Appleはこれを理解しているからこそ、Macのアーキテクチュアをインテルベースに切り替えた。
■インターネットとブロードキャスト(放送)の融合(Chapter4-2)
これは既にユーザーが当たり前のように使いこなしている、YouTubeとか、ストリーミング配信などで、言うまでもありませんね。この辺に至るとWeb2.0とは、双方向、インターネットベース(Webベース)なので、通信分野と密接不可分になってきます。ブロードバンドということですね。この本の時点ではまだ、ADSLとか、FTTH(Fiber to The Home)などという用語が出てきます。
【本書の構成、目次概括】
Chapter1:Web2.0とは何か(で概括する)、
Chapter2:Web2.0をとりまくテクノロジー(で個別の技術を説明する)、
Chapter3:Web2.0的サービス(ここでアップルのiTunes, Google, Amazon, オークションサイトのeBay, Wikipedia, はてな、などが登場し、応用編に入ってくる。つまりユーザーから見て何が良いのか、使い方、メリットや各社の狙いが分かる)。
Chapter4:近未来予測(ここで、Google 対 Microsoftの話、マッシュアップ、「環境変化」、インターネットとイントラネットの垣根崩壊、放送との融合などが語られる・・・これらはしかし2010年代も大きくは変わらず続いているし、逆に2006年や2007年頃に言われていた、Web3.0という話は今はもう消えているというか表舞台には出てこないようだ)。
Chapter5:Web2.0ベンチャー最前線レポート(ここは、5年も経つと消えてなくなった会社、技術や、買収されて今は〇〇に入ってしまっていると言った、例えば「検索技術のベンチャー」なんかが出てくるので、企業の栄枯盛衰が垣間見れる)〜読み飛ばしてもよいパート