
五冊目読了。「スギハラ・サバイバル」
- なぜ、survivor (生き残りし者たち) ではなく、survival としているのか?▶︎その理由は最後に筆者により語られる。
- 外交史を参考文献とし、オシントやヒューミントなどのインテリジェンス用語とともに
- 古都金沢での英国人スティーブン、そして芸妓「雪花」の関わりを上品な生き様で描くことが、この作品全体の空気感にニッポニズムの深みと色彩りを添えている。
🇱🇹 "survival" の名称に相応しい歴史の舞台。世界大戦に入る直前の独ソ。ポーランドを併合する。スターリンとヒトラーに蹂躙されていく欧州、そしてバルト三国。
なかでもリトアニア共和国。あの日本人外交官・杉浦千畝の "命のヴィザ" 。日本を通過してオランダ領🇳🇱のある島を最終目的とするアイデア。これによって法的には『通過VISA』が発行できることになる。これにより六千人の、ポーランドに住んできたユダヤ系の人々が、リトアニアにいっときスターリンの策略により併合され、その地からシベリアを経由して極東の日本に逃れた。そこから、アメリカへ渡った者もいたという。結果としてヒトラー率いる当時のNAZIドイツによる民族浄化という人類史上最悪の悍ましい人道的犯罪行為から命を救われた。
その史実との関連性からの、陰鬱で凄惨なWWII 時代からこの話は始まる。続いて日本の太平洋戦争突入直前の世界情勢を語る。
日独伊枢軸 (Axis) へと傾倒していく軍部支配下のニッポンがあった。この作品はそのような時代背景と史実を小説の形を使って、世の中に明らかに紐解く、そんなノンフィクション作品にも思えてくる。
そして、WWII 後のパクス・アメリカーナの形成 から、反米イスラム狂信者たちによる2001.9.11. ニューヨーク同時多発テロ。それら犯罪行為のバックにある資金の流れを追う捜査当局。ブッシュ政権での諜報と政治外交政策の齟齬。歴史上の史実、大事件・大惨事をリアルな根拠としてモチーフにしている。
一方では、恋愛の形にはやや近いが、さらりとしつこくない上質の人間関係・交流の様子も金沢を舞台として雅な感じで描かれる。その人間愛を元にして想起し語られる人間模様に絡めた、友情と愛の力で世界とつながるネットワーク。そんな隠れた物語が明らかにされていく。
✴️ 特筆するのは米英の登場人物の掛け合い。洒脱な会話のレベル感が優れていて楽しい。
◎ 毎作品のストーリー仕立ては、外交ジャーナリストとして数多くの豊富かつ上等な外交、渉外経験を有する著者がそれらをいかんなく投下して語る。
👉今回も歴史上のノンフィクションのようなリアルな作品で読みごたえた。
この書も手嶋龍一氏による第一級のインテリジェンス小説。これは私が作者の作品を初めて読んだ「ウルトラ・ダラー」の続編に当たる。
🇬🇧スティーブンが再び登場。
前回、4冊目の話はこちらから▶︎🔗 『鳴かずのカッコウ』、映像記憶 - ときおり人生ジャーナル by あきしお @accurasal
真の意味において命を懸け、北に向かう。そこからソ連のシベリア鉄道経由で極東の見知らぬ地・日本に渡る。当時のニッポン、国際都市神戸。そこで銭湯のシーンなどが登場してノスタルジーを覚える。無二の親友となったユダヤ人と日本人の子ども。そこにソフィーというユダヤ系ポーランド人が重なる。程なくアメリカに渡ったそのユダヤ人少年と、彼によるシカゴマーカンタイルの先物市場という仕組み創設。金融市場での資金づくりと競馬という、情報の先読みによる金の動きが重なり合い、推理は結びつく。そこから半世紀が流れた。
舞台は金沢、シカゴ、上海。世界の主要都市を舞台に藝術や文化芸能に長けた筆者ならではの緻密な筆致が読ませる。金沢での日本の👘着物、帯や生地、染め物に太鼓と篠笛、お囃子など。文化芸能知識に裏打ちされた描写がそこかしこに散らばっていて、情景が美しい。
さて、他の人の感想コメントを見てみようか...
出所 : ネット検索結果から、KAZOOさん⤵️
KAZOO
手嶋さんの「ウルトラ・ダラー」に続くインテリジェンス小説です。今回もBBC特派員のスティーブンが出てきますが脇役的な存在です。ヨーロッパでの第二次世界大戦中に杉原千畝が必死にユダヤ人向けのパスポートを発行して日本経由で世界に散らばったユダヤ人と日本で知り合った少年たちとのその後の活躍が描かれています。内容的には戦後の大きな世界経済をめぐる事件の裏には・・。ということでのインテリジェンスの重要性があったということです。また手嶋さんのあとがきや佐藤優さんの解説で杉原の再評価がほんの最近であったことを知りました
少し間を置いてから、たぶん6冊目を読むことになりそうだ。
(閑話休題) 今日、令和7年7月7日の七夕🎋
記念になるか分からないが、このところハマっているGymでのexerciseが今日で4週連続を達成した。並行して読みつなぐ手嶋龍一氏のインテリジェンス小説は、次とその次が7冊目になるところ…←こじつけた ^o^ ; ということで、この原稿を急遽仕上げてここにアップした。
P.S. 今週はメンバー向けの講義2回シリーズの収録があり、気付けば5年目になる。その翌日は石川県金沢へ出向いて、チームで講演するのに私も急遽登壇する。運勢的な波とその流れが渦巻いて自分の元に吸い寄せられてくる実感。