「機能獲得」とは遺伝子を操作して、ウィルスが持っている病原性や感染力を増強させることをいう。ウィルス研究者たちは、機能獲得の技術を駆使しながら、ウィルスの変異の仕組みを解き明かし、より効き目のあるワクチンの研究・開発を目指してきた。
(第3部 蝙蝠は闇夜に飛び立つ P.239から抜粋)
◉生物・細菌戦 国家の安全保障の問題...
" RaBtCov/4991 " 新型コロナウィルス感染症に至るまでの、🦠SARS (重症急性呼吸器症候群)ウィルス、MERSなどの恐ろしい感染症。
・この "機能獲得" 研究を🇺🇸オバマ政権が中止命令を出した。その余波についての米国内の混乱や詳細まで詳らかに語られる。
・登場するのは🇺🇸の関連分野研究所 (フォート・デトリック 陸軍感染症医学研究所、NIAID : 国立アレルギー感染症研究所、NIH : 国立衛生研究所、など) や生物学博士などの関係研究者と、問題となる中国🇨🇳武漢病毒研究所。
・コロナ禍の際、中国武漢がそのウィルス発生源ではないかと世界でかなり疑われた。それでWHOチームが現地を訪れて査察を行うまでになったことは事実。その際にこの🦠ウィルス問題で取り沙汰され世界的に有名になったのが、「バットウーマン」(蝙蝠女) 石正麗博士👩🎓という "ウィルス・ハンター" 。その現実の名前がこの小説で登場する。
◎ 読み手として、これはノンフィクションなのか?とも思えてしまうし、実際一部はそういう"事実" をもとに書いているのだろうか。虚構と真実との見分けがつかぬままどんどん進む。
✖️さらに、太平洋戦争終了時、日本陸軍にあって生物兵器の研究・開発を担う『731部隊』、その責任者 : 石井四郎中将を巡る米軍による本人の捕捉の話など、WWII. 戦争の裏側や隠された暗部 にまで踏み込んだ話になっている。
👉フィクションなのか?...いゃ一部は史実のノンフィクション部分もある。だから、あぁそうなのかと過去の歴史に触れ、戸惑わせる "内情" まで具 (つばさ) に語られる。どうにも見逃せない。
◉米国内で『炭疽菌』を郵便物に付着させテロ殺人の犠牲者まで出た当時の話も登場。生々しい。
☝️と、ここまでは後付けで書き足した。
✴️ この作品。第一印象にして私の想像は、アノ『新型コロナ感染症』の新規ウィルスが武漢の "某" 研究所から漏洩して / 漏洩されて、世界中にウィルス被害が拡散したものだという、例の "噂の話" なのかと。この書はしかし、実に浅はかな私のそんな想定を遥かに超えた。なかなかの優れもので実に感服する。
そしてなぜ、題名にconfidential が付いているのかは、最後まで読み通してようやくの理解に至った。それだけにこの話、布石は遠大だ。
二乗・三乗の面白さがある素晴らしい特筆すべきスペクタルのインテリジェンス小説。
ワシントンDC、東京・湯島、サウス・メルボルン、中国・武漢、そして香港🇭🇰、🌏世界各地を舞台にし、その土地のかなりリアルと思しきディテール描写に場面が眼前に浮かぶ。
過ぎしその年代の当時、その街で起きたこと、例えば香港の🇭🇰雨傘運動の一幕など。ついこの間起きた年次の歴史の史実が各場面の積み重ねにより物語が核心へ向かって進んでいく。場面をいくつも展開しつつ、全体を構築仕上げた映画の🎬場面構成みたいな書。
(目次からは想像がつかない…出所 : Google )
強烈に博覧強記で、数々の読者の知らない有意な情報に基づく場面描写は映像的。それは
- 著者が実際に旅したり住んでいたからこその書きぶりなのか、それとも
- 取材旅行でサーベイした結果からなのか
一例だがタスマニア紀行はリアル。オーストラリア原住民・アボリジニと、主人公扱いのMichaelが、アイリッシュ・ケルトの出自であることを絡めた。そんな文化人類学的記述も、著者の幅広の知識を展開していて、読み手をとても惹きつける。
そこに人と人との過去からつながる遠大なる一族の出自に絡むエピソードと、なぜ香港に住むのかと伏線とを使い、関係性を網の目に散りばめるインテリジェント小説。
こんな内容の本📕、私は初体験だ。
西洋の著者による有名なストーリーテリングとは一味も二味も異なり、Japonismの香りの強い日本のオリジナル作品。政治、外交、国際舞台の裏でドライブされていく外交サスペンスもの
インテリジェンスは人類を救う。
新型コロナウイルスの「発生源」として世界を震え上がらせた武漢は、中国革命の地にして、国共内戦の要衝でもあった。十歳でこの地に流れ着いた李志傑は、己の才覚を頼りに動乱の時代を駆け抜けたが、文革の嵐に見舞われ、家族は国を追われてしまう――。
それから五十年後、李一族の「業」は、MI6の異端児スティーブン・ブラッドレーと相棒マイケル・コリンズを巻きこみ、“謀略の香港”に降り立った。感染爆発は、なぜ武漢から始まったのか?
トランプ再登板で改めて、ウイルス起源が取り沙汰されるなか、米中の最高機密にインテリジェンス小説の巨匠が挑む。
※この作品は過去に単行本として配信されていた『武漢コンフィデンシャル』 の文庫版となります。
(底本 2025年3月発売作品)
ソース: 出版社👉株式会社小学館
中華人民共和国🇨🇳の凄まじく凄惨な文化大革命。それをこの形で、眼前に拡げて見せた。米英中日インテリジェンスの絡みと隠された真実とをフィクションに化体する。そんな風に仕立てられたストーリーの流れ。こんな風に引き込んで読ませてくれるこの書に出会って実によかった。そう思う。
知識面でも大きなメリットになりそうだ。
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◉『ウルトラ・ダラー』で活躍したインテリジェンス・オフィサー🇬🇧グリーンのMBを乗りこなす イギリス人 "スティーブン・ブラッドレー" や日本の湯島に住むその乳母の日本人 サキ、など。彼らがこの一冊にも登場し、貴重な役回りをこなす。俯瞰して見れば、著者による📝インテリジェンス小説のシリーズものになっているのだろう。この後も次の一作があるから楽しみだ。著者 : 手嶋龍一
(2025/6/7) private diary:
〔都内某所で土曜、🛝公園で五人でピクニック🧺 その後、🏠孫の家で🍕ピザを食べ、家族はマリオの新しいゲーム🎮で遊んでる〕
(2025/6/9) (月)非出勤の1日…新たなlifestyleへと一歩踏み出したこの日に相応しい門出かな。