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『外交敗戦』 手嶋龍一…Gulf War 秘話 〔読後感想〕

前回同じ著者ウルトラ・ダラーを取り上げた。⤵️

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投稿はこちらの🔗から👉 『金で測るDeal』と国家安全保障 - ときおり人生ジャーナル by あきしお ⁦‪@accurasal‬⁩  本のアウトラインをお読みいただける。(5/14: 併せ一年前・幕末外交本を末尾🔗)

✴️ 現在、あの湾岸戦争 (国連🇺🇳安全保障理事会で、米ソが同意して組織された) [ 1990年8月2日 – 1991年2月28日 ] で、アメリカ軍を主力とする多国籍軍 対する サダム・フセイン統治の当時のイラク🇮🇶。アラブとイスラエル。中東を取り巻くイラン🇮🇷やクェート🇰🇼、サウジアラビア🇸🇦などに、当時の日本の内閣および外務省、在外公館としてインテリジェンスをその責務とする各国日本大使館アメリホワイトハウスの🇺🇸ジョージ・ブッシュ大統領とその側近たち。これらの錚々たるプレーヤー達による、リアルな戦争前夜の "インテリジェンス" と外交の高度かつインサイダー的詳述がそこにある。

◉ 戦争の世紀における政治と外交の有り様を精緻な筆により炙り出した筆者渾身の外交秘話ドキュメンタリーである。

◉後半に入り読み続けると…。実態が見えてくる。いわゆる、日本の政府・行政官僚機構の長年変わらない積年の問題点。それこそが、大蔵省…現在の財務省の権勢と権力保持の構図。

この点、のちの章 : 第10章 痛恨の二元外交 - 日本敗れたり において、"二元外交のもたらすもの" 小見出しから以下のように始まる…

官僚機構の偏狭なセクショナリズムは、ときに、国家の存亡をも危うくしかねない弊害をもたらす。本来、政府部内に広く開示されなければならない重要問題をひとつの省だけが握って離さない宿痾(しゅくあ) 。それは、日本の官僚制につきまとう風土病であり、周期的に発現して国政を死にいたらしめる。(『外交敗戦』 手嶋龍一から抜粋)

👉主題のストーリー展開が先へと時系列で進むにつれて当たり前だが副題の話…130億ドル💲💵に焦点が当たっていく。

橋本龍太郎(当時の財務大臣、後の総理大臣)氏の話のほか、外務省と大蔵省(財務省) のバトルの話が時系列かつ現実の戦費負担のトラブルのひとつとしてリアルに語られる。たとえば一例に過ぎないが、ワシントンD.C.の日本駐米大使が、湾岸戦争の戦費負担の焦点となる日米閣僚交渉で交渉の席に同席を許されず、一人NYからD.C. へ帰ってゆくシーン。これなどは虚しさの極地だ。ここに至って、本の主題の意味がよくよく分かってくる。

  • 昨日、BS日テレ深層報道に出演した元通算官僚で現大学教授・細川氏の日米関税交渉での見立てと解説を聞いた。
  • 財務省 対 外務省 (経済産業省もだろうな) の、ニッポン『縦割り行政』の対外交渉における省庁間対立とそのまま重なり今でもと。この国の国益に絡む重大課題だと気づく。

「夜は孕んでいるが、夜明けに何を産むかは誰が知ろう」 とペルシャの諺 (ことわざ) は言う。 出所 : 『外交敗戦』- 130億ドルは砂に消えた -  手嶋龍一著 (新潮文庫)第7章 テヘラン発緊急電の最後から抜粋。

なるほど…博覧強記の著者にしてこの一冊あり。著書ウルトラ・ダラーでのインテリジェンスの戦いから、こちらでは打って変わって歴史上の戦争の裏側での外交交渉の現実を描く。

裏側での外交交渉の現実は時に、国家を戦争に巻き込むことは、歴史の真実である。

二元外交は、漆黒の夜空に打ち上げられる花火に似ている。それは、一瞬の間、大輪を広げて華麗に輝くが、同時に地上の現実を照らし出してしまう。そして、結局は、外部に自国陣営の脆さと醜さを露呈する。

(『外交敗戦』 手嶋龍一から抜粋)

国際舞台で世界の警察国家アメリカに対する、日本国としての憲法上の制約、国際貢献と外交とをテーマに、国費負担の決定メカニズムのリアリティをここまで詳らか(つまびらか)に精緻かつ丁寧な筆致で描き出している。歴史の証人的なそのコンテンツに、敬服して平伏すのみ。

✳️ 数えてみたら、なんと!合計71名もの方々 (主に外交官) にインタビューをするか、または資料提供の協力を仰いでいる。そのことで実名と当時の肩書きも記している。上は米国の上院議員、下院議員、日本の在外公館大使や、外務省北米局長、米国の海軍次官、に、ウォルファウィッツ国防次官、衆議院議員、企業の会長や副社長、まで錚々たるメンバー。

◉この作品は、1993/11 、『1991年 日本の敗北』として新潮社より刊行。1996/5 に新潮文庫に収録された。新装版刊行にあたり、『外交敗戦』に改題された一冊である。

◉書の最後 : 筆者による圧巻のフィナーレ。

"著者ノート" ( 1993/9/9 )

"取材・参考文献ノート" 

"文庫本あとがきにかえて" ( 1996/3/11 「ドイツの小さな街」ボンにて 手嶋龍一 ... で数々の秘話や本を刊行するにあたっての関係先との交渉裏話が回顧される。

私にはむしろこの "編" の方が、ニッポン政治と外交の重大なる機微や世界とのせめぎ合いのリアリティが身に迫ってきたこと、それを確かに書き残しておく。

  • 『財務統帥権のくだりもある(詳細省く)
  • あの在イラン国日本大使館によるテヘラン発緊急電』(国連多国籍軍の戦端が開かれる直前に100機ものイラク空軍機が、イランの空港に飛来した事件...今も真相は闇の中) につき、外務省からの断固たる削除要求など、一連のせめぎ合いがあった ( が、著者は結局掲載した) ことでの周辺事情も時の外務次官の実名入りで詳しく明かされる。👉ポジティブなニュアンスであることは付記しておこう。
  • 当時の橋本龍太郎大蔵大臣が、ブレイディ財務長官と秘書官も通訳もなしに完全に "サシで" 90億ドルを内々に決めた会談のことについて、「日米の蔵相同士の密室でのやりとりに委ねられた。」こと、
  • 「それゆえ会談の核心部分を描くには、当事者の証言は欠かせなかった。(中略)自らの政治歴に決定的な瑕(きず)となりかねない難交渉だったからだ。にもかかわらず、橋本蔵相はこれを受けてたった。移動中の車からしばしば電話をくれ、事実の細部を資料に基づいて訂正したり追加してきた。」

などなど、生きた外交の教科書 として読み耽ったことをここでしっかりと残しておきたい。

◉『湾岸戦争』👉Wikipediaからhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B9%BE%E5%B2%B8%E6%88%A6%E4%BA%89

真面目一方の話題から一転して、たまには笑える内容でも...⤵️

オーストラリア人から見た「アメリカ英語の発音方法」が真理すぎる。 顔の筋肉めっちゃ動かすの。ただ笑えるだけじゃなくわりとガチで使えるテクニックだから、このオーストラリア版渡辺直美みたいな芸人さんの真似してみてほしい。 ちょっとやりすぎくらいがまじでちょうどいい🤣

🇺🇸ホワイトハウスでの厳しい交渉で、互いの国益を背負い主張の応酬をやり合うとき。こんな喋り方でAmericanっぽくやったら🤣、そりゃあ面白いし。)^o^( 笑えるだろうか⁉️

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✳️ 一年前に読んでいた幕末の新日本史。当時の日本外交 および 日本を取り巻く列強外交官の暗躍という時代のドキュメントは一定の比較や参考になると思う。

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