ときおり人生ジャーナル by あきしお ⁦‪@accurasal‬⁩

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関税摩擦の渦中、日本企業は「司令塔」不在 (真相深層)

『司令塔不在』と題した6年前と今とでは、企業内での様相はそれなりに異なってきているだろうか。今回の表題は、日本経済新聞のもの。

 変わらない定義としての『関税』とは、輸入側が負担、納付して輸入調達する課税の問題である。それは一部の取引条件での例外 (Incoterms (R)の DDP 条件を使う場合) を除き、ほとんどの海外間取引に当てはまる。

👉つまり関税が高くなることは、イコール、買い手である海外の輸入者にコストインパクトのある経済上の課題である。いわば増税なのだ。

 従って日本の企業における輸出事業では、「税」(Tax) としての管理や会計面の掌握ではなく、いわゆる、売値の "コストダウン" (←和製英語)、つまり、値下げと生産コストの抑制によるマーケティング戦略の課題として認知されていることに変わりはない。(🌾)

一つだけ例外を挙げれば、グループ間取引だ。
これまでの MFN税率に各国一律のベースライン関税+10%が乗せられる対象の日本企業。

それに、日本の輸出で最も多い自動車OEMの日米間グループ取引での米国輸出。ここでは、車に米国がかけていた2.5%に上乗せする形で、25%がかけられて、27.5%になっている。
これを一企業で吸収するのは困難だ。

せめて、アメリカが日本から輸入すること全ての日本原産品に一律10%なら、なんとかマネジメントの範囲内になるかもしれない。

 (🌾) その場合日本の輸出者は、仕入れ元である中小企業からの購買相手に対し無理にコストダウンを要請しないことが重要になるだろう。

六年前から貯めておいたこの『関税』- Import Duty - に関する日本経済新聞の渋谷論説委員の記名記事…これを "はてなブログ" 上に置いている私の個人備忘メモとして掲載することで▶︎第二期トランプ政権(2025/1〜)就任100日の成績表で評価される "トランプ関税" 最新状況と照らし合わせて、リビューしてみよう。(blogオーナー本人談)

以下が当時インタビューに基づく記事の全文

関税摩擦の渦中、日本企業は「司令塔」不在
(真相深層)
貿易摩擦
2019年5月23日 6:57 [会員限定記事]

米中の関税を巡る対立が激しくなり、中国から米国に輸入されるほぼすべての貿易品に制裁関税が課せられる恐れが出てきた。多くの日本企業がサプライチェーンの見直しを迫られている。だが欧米や韓国の企業と比べて日本企業は、関税に通じた人材が不足している。本社に「司令塔」を欠いたままでは対策が後手に回る可能性がある。

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「やはり我々、経理部門が関税問題を扱わなければいけないのか」

大手重電メーカーの経理担当幹部は内心、舌打ちする日々だ。米中の制裁関税の対象は広がる一方で、社内の各部署から関税問題への対処を求められるようになった。

日本の製造業で関税に通じているところは少ない。国内で生産し、輸出する事業モデルが中心で製品完成まで海外の拠点の間を行き来するような真のグローバル企業が少なかったせいもある。NEC出身の貿易アドバイザー、塩井彰氏は「関税を負担するのは輸入側なので輸出中心の日本企業は関税コスト削減の意識が育ちにくい」とみる。本社に豊富な税務スタッフがいる大企業はホンダ、ソニーなど一握りだ。

関税に詳しいトレードタックスウエストジャパン(大阪市)の千田昌明社長は「大企業でも本社で関税業務に携わるのは10人以下のところが多い」という。海外子会社が払う関税額といった基本情報も把握していないこともしばしばだ。

日々の関税業務は現場任せだ。担い手は(1)製品を扱う各営業(2)物流・調達(3)法務(4)財務――といった部門の担当者が本業の合間に通関や関税支払いの作業をしている。実務は委託先に任せるケースも多く、人が育ちにくい。本社と海外子会社との連携も乏しい。

一方、欧米企業は税をコストととらえ、厳格に管理する。「関税スタッフが300人以上という例もたくさんある」(千田氏)。大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)のマイケル・ライトマン氏によると、米自動車、化学大手は本社に弁護士や会計士の資格を持つ関税担当ディレクターを置き、世界の拠点を網羅して最適な関税戦略を執行する。

経営陣には四半期ごとに最新情勢を反映した関税プランを提案し、全社の製品企画や部品調達などに反映される。関税を「合法的に引き下げる努力を怠れば株主から訴えられかねないという緊張感がある」(千田氏)。

IT(情報技術)を駆使して欧米企業に並ぶ体制を築くのは韓国サムスン電子だ。専用ソフトを使い各国の最新の税法制やグループの関税負担の状況を監視し、きめ細かく見直しているという。

日本企業にも米中摩擦の長期化をにらみ、部品の調達先などサプライチェーンを見直す機運が高まりつつある。ただ実際の生産移管には数カ月~数年はかかり、自動車などの装置産業は巨額の投資を伴う可能性がある。

一方、関税のコスト削減は「すぐに着手できる」(EY税理士法人の大平洋一パートナー)。例えば米国に輸入した車を他の国に再輸出すると、いったん払った関税が還付される「ドローバック」という制度や、輸入した物品と特許使用料など費用を分けて請求し、関税対象の物品の評価額を下げる手法などだ。

ルールと使い方が明確な自由貿易協定(FTA)など貿易関連協定の関税優遇策も十分活用されているとは言いがたい。「日本が結んだFTAの利用率は大企業、中小企業を平均して45%にとどまる」(デロイトトーマツコンサルティングの羽生田慶介執行役員

ホンダや武田薬品工業は、かつて本社と海外子会社の間の取引に課税する移転価格税制を巡り、課税取り消しを求めて争ったことがある。関税は巨額の税務訴訟と比べて地味かもしれないが、積み重なれば影響は大きい。米中対立が長期化する経済環境が続くという前提に立つならば、日本企業も場当たり的でない長期の視点の税務戦略に目覚める必要がある。

編集委員 渋谷高弘)

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🔗👉 令和七年の今、トランプ関税の問題を思う時、六年前のこの発信記事が心に刺さる⤵️ → 今日の世界経済は、経済モデルのシステム間競争の様相を呈しており、市場経済モデルと国家資本主義モデルのせめぎあいに加えて、自国第一主義やポピュリズムの要素が複雑に絡み合った状況にある。日本が追求する多国間経済連携協定で協働する国・地域が、どのように成功していくかを実証することが重要となる。 ← #トランプ関税 https://andy-e49er.hatenablog.com/entry/20190514/1557816199