#神は細部に宿る #博覧強記 #手嶋龍一
☝️(写真は2025/4 桜満開の少し過ぎた頃、スペイン坂横の、道元寺坂を登り切った小公園の木々)
この👇本は変わった題名(🌾)で目を引いたが、元はと言えば、
を読んだところから...。手嶋龍一氏の名前とお顔は従前からテレビで見聞きしていた。また過日赤坂でだったか?場所はもう忘れたけれど、手嶋さんご夫婦をお見かけしたことがあった。⤵️(🌾)
『ウルトラ・ダラー』手嶋龍一著のインテリジェンス小説。平成29年 / 2017年の作品だ。
巻末の解説はあの佐藤優氏。日本で一級の内容と評し『インテリジェンス小説の古典になった』、と手放しで褒めちぎっている。その解説を先に読んでから、本題に入ったのだが、
筆致といい内容の潤沢さといい、素晴らしい。
場面展開の鮮やかさ、世界の動きをまとめ上げたストーリーの語り。すべてが素晴らしい。
今まで読んだどのサスペンスもの、海外のスパイ小説やインテリジェンスものより、一番優れている! と思ったのは、まだ第二章の初めの方までを読んだところで、だ。具体的に恐れ入ったのは特に英国諜報員でBBCカバーの主人公?と内閣首相補佐官の女性との掛け合いなど。
政府当局の高官とカバーエージェントとの機知に富むリアルな会話にして、そこに日本文化の誉れとしての伝統や文化、言語などリベラルアートの高い知識を含んだ内容の筆致と描き方、それは出色すぎる。(笑)
☝️(アーク森ビル横手の植栽からスペイン坂を望む)
概要 出所 : Wikipedia
ウルトラ・ダラーとは、外交ジャーナリスト・手嶋龍一の小説。新潮文庫より2007年12月1日付で発売された。 偽のアメリカ・ドル紙幣「ウルトラ・ダラー」出現を発端にした国際的な諜報戦、国際外交の暗闇など外交・インテリジェンスを題材とした小説であり、「日本初のインテリジェンス小説」とされる。 ウィキペディア
◉北朝鮮🇰🇵とロシア🇷🇺、そこに、🇺🇸🇬🇧🇯🇵が絡む、世界スケールでの犯罪と諜報の世界
"国家安全保障" と "公安"
法令に縛られ公開前提の行政官僚と、国家運営に立つ政権トップと彼らに仕える安全保障担当主席補佐官までが、ある力に支えられている。それはインテリジェントオフィサーの密やかな行動から得られたヒューミントをはじめとする高度な分析付き秘密㊙️情報である。その真の活動は世界のあらゆる重要場面の裏庭に潜み、明らかにはされない。どこまで行こうと決して表舞台でメディアなどに取り上げられることはない。
しかし間違いなく超一級のインテリジェント人材たちの優れた情報収集能力や高度な内容の会話の中に潜む真実に依拠している。
メディアに取り上げられることは決してない影の存在にある彼らの機転と機微、勇気に負うところ大である。そして政治の泥臭さや金で測る損得勘定などとは一切無縁な、"国家の存亡をかけた信念" とでもいう崇高な礎の上にある。
読み進むにつれて著者の幅広く詳細な知識が文体とストーリーの構成に散りばめられており、まさに、博覧強記 だと分かって来た。凄い。
手嶋龍一のおすすめ本 ランキング一覧
知の武装: 救国のインテリジェンス (新潮新書 551) ...
インテリジェンス武器なき戦争 (幻冬舎新書 て 1-1) ...
ウルトラ・ダラー (新潮文庫) ...
動乱のインテリジェンス (新潮新書 493) ...
賢者の戦略 (新潮新書) ...
ウルトラ・ダラー ...
スギハラ・ダラー出所 : 作品別の感想・レビュー - 読書メーター
国際政治、ないしは、国際関係論に関心を持って世界を見続けていく…
- 国と国との関係や二国間外交、あるいは、複数国の地域連合 ( EUやASEAN, etc. ) の政治的・社会的な統一的な運営と、紛争への対応など。
- 地球規模でこの🌏 Earth を俯瞰するとき。日々連続してbutterfly effect のように連関していくさまざまな動静と対応。
- その一つひとつに依拠し、それらの影響なしとはしない各国間の貿易取引と経済活動、
- そして為替や金融。円と$との為替テーマとしてFRBや日銀の金融政策。
これら全てはどこかで何らかつながっていて、互いに影響なしとはしない。
(2025/3/23) (日) テレ東
👆これを見て現状を直視した上でのストレートな感想として、以下要旨は理解ができる▼
米国・トランプは己のことしか関心がなく金で測れる取引だけに関心がある。世界秩序を守る気などない。法による秩序での外交と安全保障(戦争をしない)において、欧州、日本、韓国や豪州が、弱い立場の小国を守る方向に協力して転換すべきである。
これが彼 (渡部恒雄氏) のトランプ評価とそれに基づく結論だった。正しい推論と見立てだろうなと同感しながら聴いていた。
👉経済理論から外れ (多くの経済学者はトランプ政策は間違いだといっている)、理屈に合わない現米国政権のひどい政策 (仕打ち) 。そこから生まれる世界経済のマイナスの状態を考える。
少しばかり飛躍はあるかもしれないが、今後日本はアメリカに期待し、頼っているだけの現状維持では今後立ち行かないとの自省と自覚をするべきではあるまいか。
例えば…以下にアップする内容はどうだろう?
歴史上過去になったWW II 当時の実話…。幸いにも日本が免れた、当時ソ連による侵略危機。国家安全保障の最新現状において今、的外れでもなくまた時代遅れでもない。無視できないリスク・イシューではなかろうか。
- 中国🇨🇳海警局船舶によるフィリピン漁船🇵🇭に対する違法かつ傍若無人の振る舞い
- 台湾🇹🇼制空権を明らかに侵害する中国人民軍空軍機、ノーアナウンスでの軍事訓練だとする明らかな示威、挑発行動
これらは今、現実に起きていることなのだ。
"インド太平洋の法秩序" の維持というテーマ、および、朝鮮半島における休戦状態にある韓国🇰🇷と北朝鮮🇰🇵との微妙に揺れ動く相互関係。核開発やミサイル問題に解決の兆しなど全く見えない。
そのことに加えて、地政学的には中国とロシア🇷🇺が国境を接している日本海に面した地帯の存在がある。現在、ロシア🇷🇺と北朝鮮🇰🇵とが互いに日本海に面している地点である。日本海そして宗谷海峡を通って太平洋へと出ていくため、地政学的に大変重要な港湾があることを今回知った。⤵️下記
中露朝が接する危険な「三角地帯」
出所 :第一章 ウクライナ戦争、ロシアへの極秘補給路 『公安調査庁秘録 日本列島に延びる中露朝の核の影』手嶋龍一・瀬下政行 (中央公論新社)2025/8/10 初版発行
(手嶋氏談から引用) 我々の取材チームは、黒竜紅沿いの国境都市、黒河に入って、対岸のブラゴベシチェンスクを撮影し、そこから下って、これまた国境都市として知られるスイフンガ(* 漢字が難しすぎここではカタカナ表記にした)に向かいました。この * スイフンガから日本海を望む一帯が問題の「三角地帯」です。私たちは、中国側からこの国境地帯に入境したのですが、事前にモスクワにも出かけて、ソ連の外務省、国境警備当局に話を通して、中ソ国境に入ることを内報し、暗黙の了解を取り付け、カメラクルーが狙撃されないよう布石を打ちました。中ソ関係は、依然として緊張をはらんでいましたが、両国の間柄が少しずつ改善に向かっていると言うシグナルを日本のメディアを介して発信する意図がソ連側にもあったのかもしれません。(1980年代前半の話)
👆地図の出所 : 『公安調査庁秘録 日本列島に延びる中露朝の核の影』手嶋龍一・瀬下政行(中央公論新社)41ページの図。
普段一般の目には一切触れることもない、このような日本の諜報機関が監視する深くニッチな分野での隣国の変化情報は、自ら取りに行かない限り情報として得られることはない。
だが極東と南西方面ばかりに意識を囚われていると、北方である日突如として思わぬ事態が起きないとも限らない。もちろん現状のウクライナ🇺🇦とEU🇪🇺・欧州の問題での変化が起こった上での数年先の話であるだろうことは容易に想像できるけれど。
✴️ ところで "世界の警察官" の地位から脱し、一国優先主義を是とする現在(トランプ2.0) のトランプ大統領。彼が伝統的なエスタブリッシュ層による "ワシントンD.C. の政治" を嫌っていることはあまりにも有名だ。いわゆる「ディープステート」として忌み嫌うとも聞き及ぶ。上で引いたような機微情報としてインテリジェンス機関がもたらす世界動向など全く信用しない。そんなリーダーが率いる合衆国はどこへ漂着するだろうか?
インテリジェンスとフェイク情報👉🔗 真実を見極め、より良い世界を作れたら - ときおり人生ジャーナル by あきしお @accurasal
さらには西欧という、キリスト教と自由主義を共有している西側同盟諸国・友好国より、ロシア🇷🇺のプーチンとの関係の方に、より気を配っている。
そんな行動スタイルがこれまで多く見てとれるのは、ひとえにウクライナ戦争を止めたいがための対ロシア戦法?なのだと割り引いてはみるものの…不信感は高く、行動の不確実性は各所で深まりつつある。
だからこそ尚のこと、自らを "Tariff man" と自称する2期目で発するトランプの大統領令には注目が集まる。腐っても世界一の経済規模と軍事力を誇るアメリカ🇺🇸という国の大統領。主要国の関係性と外交の方向性にはさらなる注視が必要だ。
◉ 安全保障はビジネス交渉と基本的に異質。 金銭価値を基準として判断するビジネスマン慣行での Business deal と異なり、ある種の騙し・騙され、腹の探り合いも必要。ビジネスディール経験による交渉でカードを持つ待たないなどという程度の手法で簡単にカタがつくような脆弱な問題ではあるまい。各国や地域間の紛争問題にはそのような個人技のディールだけで簡単に片付くものなどはない、と思うべきだろう。そのことは論を待たないと思う。
外交経験少なくその力もなく(一度は大統領職にあったとは言え) 元は不動産のビジネスマンでしかない、この気まぐれで本能のまま我が物顔で好き勝手に発信するワンマンな裸の王様。
彼は今後、アメリカをどこへ連れて行くのだろう。そんなリーダーが率いる合衆国はいったいどこへ漂着するのだろうか?
(ゴールデンウィーク中も引き続き読書しているこの一冊について、blogに書きました▶︎🔗 『外交敗戦』 手嶋龍一…Gulf War 秘話 - ときおり人生ジャーナル by あきしお @accurasal こちらも相当な力作です。インテリジェンスものとして◎。緻密かつ精緻な筆です。
- 歴史の裏側を垣間見ることができる。
- 今進行中の、トランプ政権との日米関税交渉の行方と被せて、考えさせられる。
リアルに読み進めています。読書が楽しい。