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『アンネ・フランクの密告者』(最新の調査技術が解明する78年目の真実)

アンネ・フランクの密告者』(最新の調査技術が解明する78年目の真実)  

厳かに静かなる読書。そこから得たものは壮大かつ凄絶な、誰もが知るナチスドイツ、そのオランダ占領時代の歴史の事実ゆえの重さ。それがずしりと体を包む感覚。

・「調査にほぼ5年の歳月を要し、その間全世界を回って、失われた報告書や、一度も事情聴取されていなかった証人を見つけようとした」

・「1944年8月4日に何が起きたかという謎の中で失われたままのピースを差し出してくれるものと、わたしは信じている」(ヴィンス・パンコーク 調査責任者・元FBI特別捜査官) from : あとがきにかえて…本調査には200人が協力した

✴️ 多くの日本人、いゃ実に世界中の人々が知るアンネ・フランクの日記』。詳らかにされた、Nazisドイツによる許されざる史上最悪のホロコースト犯罪。戦争犯罪という一言で語れない捜査ノンフィクション。

当時の不法行為の実態に言及する。莫大な数の尊い人命を死に追いやった、密告という行為。

その一つの象徴と言えるフランク一家のアムステルダムの隠れ屋の密告者は誰なのか。世紀の "事件を解明する" アンネの日記『続編』とも言うべき内容。

 

本の奥付けにはこう評されている : 

世界的ベストセラー「アンネの日記」を描いた15歳の少女を密告したのは誰なのか?

  • 世紀の未解決事件を解明するため、元FBI捜査官を筆頭にプロファイラー、歴史学者、データサイエンティストら20名を超える各方面の専門家が結集。最新技術とテクノロジー、プロファイリング、法医学検査、人工知能など現代の操作法を駆使し、真相に迫る。

月曜日からのわずか二日間で、B6版大書籍の

  • 巻頭の写真8ページ
  • 序文 (追悼の日)と自由を奪われた日々の記憶
  • 第一部 "密告事件" の背景 (第1章から第16章)
  • 第二部 迷宮入り事件の調査 (第17章から第43章 : 厳重に守られた秘密)  までの合計389ページを 一気に読んでしまった。(現実感、緊迫感などなど…)

いわく、

「ヴィンス(* 調査チームの中心人物)にとっても、コールドケースの調査に参加している他のものにとっても、彼らがやっているのは抽象的な歴史のリサーチではなかった。

戦争が解き放った災いはその姿をはっきり見せていた。人々は生身の存在であり、栄光と挫折は手に触れることもできそうだった。人々の悲劇に胸がいたんだ。

出所 : 『アンネ・フランクの密告者』第18章 ドキュメンツ・メン   153ページからの訳文抜粋

著者 : Rosemary Sullivan
訳者 : 山本やよい

2022/2/16 発行 第一刷 (株)ハーバーコリンズ・ジャパン

全てが解明された後。続けて 終わりに 幻影の街 をこれから読む。

この膨大な歳月をかけた、そして現代の捜査テクノロジー (当然ながらAIを活用して事実を整理し検索をかけて検証した…)を駆使した科学的捜査。多くのリソースをかけた真相究明活動に心からの敬意を表する。

とともに、人類史上最も恐ろしい出来事の1つの切り取った 推定事実の断面 を目の前に展開されたことには、なんとも単純な書き言葉や表現ではとても表せない深さの思いが、いま私の胸を揺さぶっている。(うまく書けない)

 いまロシアによる、Nazisに対抗しての特殊軍事作戦という欺瞞的名目にカムフラージュされたウクライナへの軍事侵攻が起きている。

この戦慄の人類史の1ページに立ち、この一冊に深い感銘と憂慮とを併せ持つ。いずれまた起こる戦争犯罪の立証・解明への想像を絶する苦難の道に一縷の救いや先例となることをも願ってやまない。

ファシズムの恐ろしさは、身をもって体験するか、書物や映像などで目を背けずに追体験しない限り体に身に付かず。再びあのような悪夢がこの世に降臨しないと誰にも保証できない。

だからこそこの一冊を読む価値がある。