Andy.S の雑記帳

内外について個人の思いを綴る雑記帳です|andy-e49er | Twitter@Accurasal

"SEE NO EVIL"  BY Robert Baer

*記事、書き直しました Rev.02
邦題「 C I A は何をした?」
今、読んでるのが、「CIAは何をした?」。
 1995年に映画化もされた(ジョージ・クルーニーシリアナ」)らしい。
 引退した実在の元CIAケースオフィサーである著者は、Robert Baer (ベア氏)。翻訳者が佐々田雅子さんと言う方で、「解説」も書いておられるが、この解説が秀逸だ。
 ◆解説の引用: 「著者が結語としているCIA再生策は、当然のことながら、”ヒューマンファクター”の復権だ」 ・・・とのことであるが。何だか現在の企業の低迷問題と似ている感覚(相似形の記憶)に陥るのは果たして私だけなのであろうか 、、皮肉めいた教訓を思い起こさせてくれる一冊だ。反省もさせられる。 人を介して情報収集・分析をする、いわゆる諜報機関と"SPY"の実録ノンフィクション。
 ◆その内容は? 非常に示唆に富んでいて濃い。(外国人の名前が頻出するため、読みにくいことはやや難点…) 1976年CIAに入った著者本人が、現役時代インド、レバノンイラクなどに駐在。その国と周辺国において、米国政府出先機関として調査(諜報)活動した中での実録と政府組織間連携のまずさを批判した内容。 引退後、彼は3人の子どもたちに「いままでどこで何をしていたか」、その一端を示した。(どういう家族生活だったんだろうか…?単身赴任だったのか?)
 ◆メインテーマ:人としての正義感・使命感。そういった気骨ある「精神」と、国の中央権力にはびこる「官僚的事なかれ主義」や保身主義との政治的な闘いを描きだす。実録。 実際、中東や中央アジアにおける対テロリスト情報収集(スパイ)実話も含んでいる。時効ということも意識されているのだろう。本当の話だと思う。対テロ作戦の一端がリアルに垣間見える…。 
ハ ラ ハ ラ ド キ ド キ のストーリーの連続ではなくどちらかというと派手さはない。(裏の)外交や政治場面での生きる 人 間 対 人 間 の関わり。本人のつぶさなメモを元に書き出しているのだろう、会話場面もリアル。
だから一種の人生訓としても読むことができる。考えさせてくれる一冊だ。

 ◆時系列で。海外の、一般人の想像を絶する危険な土地、危険な相手とのInteractiveな活動の中。いくつものエピソードを軸に、米国政権(ホワイトハウス)やNSC(国家安全保障局)とCIAとの現場レベル、上層部を通じての政治的軋轢が描かれる。外交史的な側面も持っている。単なるスパイ小説を超えた、一級の政治機構のものがたりとも言えるだろう。
 ◆イスラム系アラブ人、中央アジア人の政権にいる(いた)名前も頻出。現役大統領名も登場。これらがいずれも長くて複雑だ。日付と名前、そして場所を読み返し、少し前の方のページ確認をしながら読み進む必要はあるか。中東やカスピ海周辺、旧ソビエト連邦アフガニスタンなど中央アジアの地図を常に眺めて、読み進む。結構大変。でも内容は極めて質が高い。だから途中で読むのを辞めることは全くできなかった。これは凄い。
 ◆"人工衛星からのイメージ写真による諜報"「イミント」と称する)とか、無線や電話などシグナルからの「情報収集」(「シギント」と称する)に頼りすぎ「ヒューミント」をおろそかにした=ツケ=の結果、米国同時多発テロを防げなかった。。。 痛恨 。。。 CIAとホワイトハウスへの痛烈な批判精神を元にしかし冷静に、時にユーモアも交えて書いている。がしかし、だ …言論の自由をここまで守ってくれるアメリカ合衆国とCIAという組織はその意味において驚くばかりの「自由度」ではないか! 表現の自由の権利の合衆国憲法による保障ということなのだろうが。

 ◆官僚化し自己保身が強くなったCIAは、ホワイトハウスや国家安全保障局など政権中枢に属する人間の言いなりになり、
「見ざる」(See no Evil)になった。
それらを実名付きで内部告発しているところからスタートしている位置づけの書なのだが。。全て実話であるため、
 ◆CIAが出版前に検閲し黒く塗りつぶした名前や地名がそのまま黒塗りで印刷されている。それら黒塗り以外はほとんど全てが実名。リアリテイー凄い。(ただし本人の安全を考え CIAが雇った現地エージェントは仮名)これがこの本の「実質性」を保証する感じ。

 ◆同時多発テロ911をCIA防諜活動でキャッチしたが中央政権が無視したために、「防げなかった」。少なくとも行うべきやり方をやっていれば警戒すべきという事態の把握には至れたはずだった、という本人や所属組織、中央政権への猛烈な反省から出た、一種の内部告発でもある。
出身母体のCIAが内容のチェック後、出版を認めているということはまだ健全な批判精神が残っている証左か。組織としての復権の一翼を担えるとの評価からなのか?最近オバマ大統領自らの発表で世界の一大ニュースになったOBL氏の名前なども随所に何回も登場。 
そ し て 2001年8月運命の関係情報が引退しコンサルタントになっていた彼(著者)に寄せられたのだったが・・・〜 は た し て ・・・ 興味のある人は一読お奨め。

SEE NO EVIL という原題は、 
see no evil, hear no evil, speak no evil
(見ざる、聞かざる、言わざる)の意味からとっているとか。
【衰弱したCIAに対する著者の痛憤が込められている】のだそう。う〜む、こりゃ英語の勉強にもなった!


P.S. 自らも海外赴任経験をした立場から、多くのエピソードの中にある警句や教訓、批判などが共感を呼ぶ。これはまさに、祖国を離れ、海の向こうで体を張って 大義や正義のために献身してきた 男の生き様なのだ、と。思わずにはいられない。立場や危険度は異なるが、まさに組織のために 中央から離れた場所で 自らの判断で行動する 生き方の書だ、ということを私は最後に気持ちを込めて付け加えておこう。

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