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サンデルの政治哲学

<正義>とは何か
/著者:小林正弥(東大法卒、千葉大法経学部教授、1963年東京生まれ)平凡社新書553 著者はマイケルサンデル・ハーバード教授とは親しい仲だとのことで、著者による「NHK白熱教室」で一躍有名になった法哲学に関する解説書を読んだ。内容はやさしいとは言えないものだが、「正義とは何か」の白熱した議論のバックグラウンドにある過去からの「哲学」理論に触れることができ、なかなか興味深い内容だ。
2010-12-10 初版第一刷 2011-01-25 初版第三刷を読んだので内容を少し整理して引用してみた。
サンデルの政治哲学:彼の主著は1996年刊行「民主政の不満ーアメリカにおける公共哲学を求めて」:望ましい公共哲学として、共和主義の再生というビジョンを示した。共和主義的伝統の再興を主張。
リベラリズムと正義の限界」:アメリカの政治経済や憲法を扱い、具体的な議論。

・福利型、自由型、美徳型の正義論
・3つの考え方の説明:

1)福利の最大化 Welfare、帰結主義功利主義
2)自由の尊重という考え方、義務、権利論、リベラリズムリバタリアニズム
3)美徳の促進という考え方、目的論、コミュニタリアリニズム

◇共和主義とは、簡単に言えば公民的美徳に基づいて人々による自己統治を目指す考え方。
コミュニタリアリニズムの考え方は状況や文脈を重視し、その中での議論や政治的展開を考えて行く傾向が強い。
ネオリベラリズム:市場の効率を最大化し経済成長という結果を実現するという経済学的な議論、哲学的には功利主義ないし帰結主義の考え方に近い

経済成長という結果を可能にするためにこれらの政策を主張し、リバタリアニズムは主として自己所有に基づく正義を実現するために課税に反対する。
リバタリアニズム:哲学的原理を主張。自由型正義論ないし義務・権利論の一種;人間をそれぞれ別の分離した存在と考えて、個々人の自由な意思を尊重するというところに由来。リベラリズムと区別するために「自由至上主義」とか「自由尊重主義」とか呼ばれる。著者は「自由原理主義」と訳す。市場原理主義とも言うことができるほど、市場経済における自由を重視する思想。豊かな人に課税して貧しい人に再分配する仕組みや考え方を否定する。国は治安や市場のルールを守ってくれるだけでよく、その関与は最小限にすべきだ、とする。
リベラリズムリバタリアニズムも自由を強く主張するが、政治的自由だけではなく、企業も含めた経済的自由を主張する。
リベラリズムの公共哲学とは?「道徳的・宗教的諸見解に対して政府は中立であるべきだ」
自由とは、自分が目的を選択できる、ということ。多元的で別個な個々人を自由で独立した存在と想定し、善は人によって多様なので、「善に対する正の優位」を考えて、個々人の 「正義 nearly = 権利」を中心に考えて行く。リベラリズムのいう正義とは権利とほぼ同義。これは、法律を中心とする「Justice」であり、いわば「 法義」と言ってもいいほどだろう。これは、憲法や連邦最高裁判例などに、最も明瞭に現れてくる。そこで、特定の目的よりも、個人の権利を行使するための公正な手続きが重要になる。

サンデルは、訴訟社会と呼ばれる現在のアメリカを「手続き的共和国」と呼んでいる。本来、共和国とは共和主義に基づく国家であるはずなのに。

資料:公共哲学ネットワーク:"http://public-philosophy.net"