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それでも企業不祥事が起こる理由

 読みやすく実務的な内容でまとまっている。法律理論を並べ立てるしかつめらしい内容とは文字通り対極にあり、実務家としての意識で弁護士である著者が具体的に語りかける。本著のまとめとして
コンプライアンスの核心は企業の行動が公正(Fair)なものかどうか、
ということである。
 いわゆる不祥事とされる食品偽装事件なども、全ての根幹は、客である消費者を「だます」などの不公正な行動により、刑法上の詐欺に当たるふるまいや、刑法犯罪でないとしても社会的・道義的責任にもとる行いをしたかどうか、ということ。
 コンプライアンスは遵法と称されるもするが、実際にはそれより広い概念である。企業が社会や顧客、一般市民から期待されるあるべき社会的公正公平な行動を行い、少し前に語られたいわゆる『企業市民』として市場や一般社会で受容れられる存在であるかどうかが問われる。そのような重要かつ不可欠の概念と言える。決して手間のかかる、余計な「やらせ」仕事でなく真に顧客の利益に適う、公正で健全な、信頼できる会社なのかどうか、に直結するものだ。
 コンプライアンス経営は、オペレーショナルリスク管理とともにある。グローバル競争時代にあるべき正しい企業ブランド、『公正明大で信頼できる会社』の証(あかし)なのだ。優秀な営業パースンほどその真の価値を理解出来ると著者は説く。まさに/Fair /Free /Global であるかどうか、ということになる。
 想像力を欠いた、自己の間違った行いから引き起こされる影響、迷惑、や評判の失墜。その後の惨めで大変な情況を想像できない社員がいる。彼らが、ときとして(例えば借金まみれとか)何らかの引き金により、社内管理や内部統制をかいくぐり、または故意に隠蔽工作を行う形で、不正行為や犯罪行為を行うケースが多く知られている。
 これらの問題の核心は実はこのような社員は、正しい行為とか、公明正大、公正取引とか、そのような概念的な理解に欠けている、ということだ。考え、想像を発揮し、善悪や是正の必要性を判断する力の無い、そのような脆弱で責任能力に欠ける不適格な社員を抱えたまま、いくら形式的ルールや社内管理強化、経営者宣言で社内を「縛っても」駄目。そのような人間が起こす確信犯的な事件はなくならない。よってトップ、経営管理層は、単に「コンプライアンスは重要だ」などと宣言するだけでは駄目。どんな行動を、どう行い、どういう会社であるべきか、そのためには社員一人はどのような姿、存在、意識であるべきか、を分りやすく率直に、自ら語りかけねばなるまい。

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『それでも企業不祥事が起こる理由』(弁護士・國弘 正著)新刊本