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映画「重力ピエロ」

掲載写真は重力ピエロとは関係ありません
 重力ピエロ。風変わりな題名が以前から気になってた。TsutayaでDVDを借りとうとう鑑賞。結果、予想外。かなり秀逸な作品。社会的にも人間的にも非常に暗く重たい悪の犯罪。そこから紡ぎだされる心象的事件を主題(テーマ)に使いながらも、映像とセリフやキャストの演技を軽め明るめ人選でうまく救った。映画製作は詳しくないが全体バランスをうまくとったということだろう。
・重力ピエロの本はこちらから
 好きな吉高由里子がチョイ役だけど重要な役回りで。妙に気張らない存在感を醸し出す。鈴木京香は出来すぎ母親像。元モデル出身という設定では彼女が適役か。ミステリーのキーワードはうまく仕組まれた内容でここが秀逸。24年前、東北の一つの町で起きた重犯罪と、現在進行する不可解なミステリー事件との符丁が「二重写し」となる。生物学の二十螺旋(らせん)・DNA、親子愛。そのふたつの対比が象徴的。親子とは、家族とは何か?が、真剣に、しかも丁寧に淡々と描かれる。泉水と春という"Spring"で掛け合わされた主人公設定の「二重」が螺旋のように絡まりながら兄弟愛を、日常風景の中きれいに自然な形で描く。父親が田舎に引き込み農業作業に生きているところが、また重たい内容を明るく変えている。奇怪な事件の進行とともに日常の何気ない家族愛(理想的に過ぎると言えなくもない)がごく普通の家庭にもありそうな自然なセリフまわしとともに、ナチュラルに描かれる。だから見ていて気持ちが暗くならず、逆に前向きに不浄さが浄化されていく。
 正義感とは何か?正義は何か?に力点を置いていて、公正な処罰(さばき)を二の次にする価値観は果たして家族愛に支えられたものだろうか。ジャンルこそ異なるが「必殺仕事人」にも通ずる。そこが視聴者の強い共感を得て映画の評判がよいゆえんなのだろうと思った。
 総じて、映像構成、脚本、キャストなど、全体がうまくマッチして相乗効果を発揮する。それでとてもよい内容に仕上がったと感じる。近年の日本映画の中で「2回見てもよい」と思わせる作品はなかなかない。最後に一言、「火には強い浄化作用がある」、まさにその通り、見ているものの心も浄化してくれた。女性には、きつい内容かも。

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(追伸)一年前までは(間に1〜2年の空白はあるものの)8年前に米国勤務から帰国してから毎年数回は海外へ出張に出る機会があって、必ず映画を機内で複数見ていたものだ。それも「日本映画」はこういう機会がないと通常は劇場でも見ないのが常。そんな個人環境が昨今変わって海外出張がない業務に変わってきたため、最近はVideoや映画館で映画を見るライフスタイルに切り替わってきた。そんな中、「おくりびと」はよい映画だったと思うが、正直、重力ピエロの方が映画らしく見ていて面白かった。日本映画もなかなかやるじゃないか。