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のるかそるか

グローバル製造業の未来 2009-12-18 1版1刷 ブーズ・アンド・カンパニー
原題は、Make or Break(のるかそるか)である。元々、欧米系の製造業戦略提言の書を日本向けに発刊するに際して、大幅に加筆したそうだ。ブーズ・アンド・カンパニージャパンのメンバーが内容を読んで日本企業の直面する課題を話し合ってまとめたとのこと。まさにその通り、欧米の「戦略優位」経営に対する、「すり合わせ、ものづくり、意思決定先送り」経営の日本企業が描かれる。実に説得力あふれる表現で冷静に論理が展開されていて、一々うなづける内容だ。
108ページから要約を引用してみる。このくだりに全てが集約されているから。
 日本企業には、(1)売上・シェア第一主義、(2)事業・製品拡張主義、(3)海外市場拡張主義という右肩上がりの志向が強く、そのために利益には目をつぶることになるが、それを容認してきたのが、(4)非効率な資本市場であった。「右肩上がり」の成長は「結果オーライ」を生みやすいため、(5)意思決定の先送りが奏功することが多く、トップダウンの戦略がなくても、(6)すり合わせ能力の高さと、(7)ものづくり信仰によって、ボトムアップの工夫で競争をしのぐことができた。
 こうしたもろもろの要因が作用してきたため、日本メーカーは「戦略」を重視せずに(売上高の)成長を遂げてきた。欧米メーカーが「戦略」的に参入・撤退を判断してきたのとは対照的に、「とりあえず参入」してから「歯を食いしばって戦う」スタイルでここまでやってきた。
 しかし、これからの時代はどうだろうか。欧米メーカーが「ものづくり」の能力でキャッチアップしてくるかもしれない。もしくは、新興国メーカーがより安い価格での競争を仕掛けてくるかもしれない。それでもなお「歯を食いしばって」低利益率で戦い続けるのだろうか。

 昨年読んでいる本に『世界で成功するビジネスセンス』というのがある。個人のビジネスセンスやプラクテイスを説いた一冊で読みやすくお薦めだ。しかし、仮にこのようなセンスを身につけたとして、上述の薄利多売モデルに拘泥(抜け出ることが出来ない)日本企業に務めている人はどうすればこのグローバル社会で生き残っていけるのだろうか。実に重い命題を示唆する貴重な一冊と言える。必読を薦めたい。
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